「知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」Vol.108
女性が一人暮らしで老後を迎えるときの費用と準備
私が銀行に入った1988年の頃、支店内の女性は全員が20代でした。
7人の女子行員で最年長の方が25歳でした。
そして、ほとんどの方は20代の中盤で寿退社。
それが普通でした。
時は30年を経過。結婚情勢も大きく変わりました。
国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2015年版)」「日本の世帯数の将来推計(全国推計2013年1月推計)」による調査結果です。
女性の「生涯独身率」は
■1985年は4.3%。
■2015年には14.9%まで上昇。
人口問題研究所の予測です。
■2030年の女性生涯未婚率は約23%に達する。
つまり、女性の4人に1人は生涯独身という時代が予測されます。
独身女性が老後を迎えるとき、必要なお金はどれくらい?
独身女性の老後の生活費がいくらかかっているのか。
実は参考になるデータがあります。
消費支出
総務省家計調査報告(家計収支編)2017年版によると、60歳以上の単身無職世帯の生活費は
142,198円です。
食料 | 35,418円 |
住居 | 14,538円 |
光熱・水道 | 12,989円 |
家具・家事用品 | 6,098円 |
被服及び履物 | 3,808円 |
保険医療 | 7,936円 |
交通・通信 | 13,148円 |
教養・娯楽 | 16,852円 |
その他の消費支出 | 31,412円 |
非消費支出(税金、社会保険) | 12,544円 |
実収入と収支結果
実収入は114,027円
(可処分所得が101,483円)
*可処分所得とは収入から税金、社会保険料を引いた自由に使える金額の事です。
つまり、毎月の収支は
101,483円-142,198円=-40,715円
なんと、約4万円の赤字なんです!
では、年間で約48万円の赤字。
65歳まではお仕事をされたと仮定して
80歳までの赤字額は約720万円
90歳までの赤字額は約1,200万円
95歳までの赤字額は約1,440万円
100歳までの赤字額は約1,680万円です。
ここで、重要な確認点があります。
あくまで安定した年金の収入がある方を前提にした計算なのです。
もし、国民年金しか入ってません、或いは年金は未加入です。
という方は、計算の根拠が変わります。
国民年金だけの方の収支は?
国民年金を40年間払い続けた方の満額の年金額が平成30年度で779,300円です。
月にすると、64,942円
もし、他に収入がなければ、月の収支はどうなるか。
64,942円ー142,298円=-77,256円
仮に平均寿命の87歳まで生きられた場合の65歳以降の赤字額は
約2,100万円
4人に1人が生存されている95歳まで生存された場合の赤字額は
約2,800万円です。
年金未加入の方の収支は??
■平均寿命の87歳までの収支は約3,800万円
■95歳までの収支は約5,200万円
独身女性の老後を考えるうえで大事な2つのポイント
①まずは老後の住む場所です。
住居費の平均は14,538円です。
しかし、例えばマンションの方であれば、修繕積立金や管理費がかかりますので、14,538円では足りません。
更に、65歳以降もローンが残っている方も要注意です。
おそらく、14,538円で収まる方は、親の実家に住み、固定資産税だけを負担するか、市営住宅にお住まいか、限定されるのではないでしょうか。
ですので、まずは、老後、自分がどこに住むのか。
非常に大事な決断になります。
住む場所により、毎月の収支が大きく変わる事を早い段階で理解する事が大事です。
②そして、①以上に大事な点が「年金」です。
今加入している年金制度が「厚生年金」なのか「国民年金」なのか、あるいは、「年金未加入」なのか、それにより、老後の収支が大きく影響します。
推奨は「厚生年金」です。
更に、年金は70歳から繰下請求する事により、年金額を42%増やす事もできます。
今、「年金」のしくみをご理解されていない方は、早急に勉強される事が大事です。
おひとりさまの老後の準備
さあ、ここまで読んで頂くと、今何をしなければいけないのか、明確になります。
「老後資金」を貯める事です。
では、どの手段で確実に増やしていくのか考えましょう。
具体的な事例として、30歳の独身女性国民年金に加入。
65歳までに、3,000万円を目標に検討します。
貯蓄
多くの方が、今だ増えない銀行貯蓄をされています。
大手銀行の1年定期預金の金利は0.01%です。
では、3,000万円を貯めるには、毎月いくら必要なのか?
■毎月72,000円です。
35年間で3,024万円を積立して元利金合計で3,029万円。(税引前)
さすがに、毎月72,000円は負担の大きい金額です。
では、手段を変えてみましょう。
積立投資
積立投資にも様々な手段はありますが、運用成果として2パターンで試算してみました。
■金利が3%⇒毎月41,000円
35年間で1,722万円を投資して、3,022万円(税引前)
■金利が5%⇒毎月27,000円
35年間で1,134万円を投資して、3,005万円(税引前)
72,000円に比べて、かなり負担は減ります。
しかし、この金額でも厳しい方はまだまだ多いはず。
では、どうすればいいのか。
投資期間を長くする事です。
投資期間を40年
●25歳⇒65歳
●30歳⇒70歳
■金利が3%⇒毎月33,000円
40年間で1,584万円投資して3,034万円(税引前)
■金利が5%⇒毎月21,000円
40年間で1,008万円投資して3,125万円(税引前)
更に、積立期間を45年にすれば、毎月の負担は更に減ります。
ここで、大事な事に気がついて頂けたでしょうか。
一番のポイントは早く始める事!
そして、長く続ける事!
具体的な商品は??
はい、では具体的な商品ですが、大きく2つのグループがあります。
①非課税を生かした商品:
「iDeCo」、「つみたてNISA」
②長期運用&死亡保障付:「変額保険」
金融商品は様々ありますが、残念ながら完璧な商品はありません。
これは、私が30年間の実務経験での確信です。
併せて1つの商品で偏った運用をする事も危険です。
投資の基本は何か?
長期・積立・分散
ですので、各商品の特徴を理解しながら、組み合わせによる分散投資が大事になります。
そして、いざ「積立投資」を始めようと思っても、悩む選択が2つあります。
1.金融機関の選択
2.ファンドの選択
この2つの選択を誤れば、せっかくの貴重な「積立投資」も失敗する可能性があります。
ですので、「お金の勉強」が必要なのです。
本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
コメント
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