「知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」
<誰でも分かる金融用語・金融商品辞典>Vol.31
公正証書遺言のしくみをわかりやすく解説
公正証書遺言とは
「公正証書遺言」とは、自分の財産の分割方法を、公証役場で公証人に作成してもらう遺言の事です。
公正証書遺言のしくみ
公正証書遺言は、3つの遺言の中でも、一番「安全」で「確実」な遺言の手段であります。その為に大事なしくみを理解する事が大事です。
誰が書くのか
自筆証書遺言との大きな違いがこの部分です。
公正証書遺言の場合は、自筆で書く必要はありません。
公証人に内容を伝えて、それを公証人が作成します。
保管場所
自筆証書遺言の場合は、どこに保管するのかが大きなポイントでしたが、公正証書遺言の場合は、公証役場に保管されますので、安全なのです。
家庭裁判所の検認は不要
自筆証書遺言の場合は、開封前に家庭裁判所の検認という面倒な手続きが必要ですが、公正証書遺言の場合は不要です。
事前に準備する事とは
公正証書遺言は、公証役場に出向いて行いますが、仮に体調が悪く、出向く事ができない場合は、出張してもらう事も可能です。
遺言内容の整理をする
まずは、事前に自分の財産の一覧表を作成し、誰に相続したいのか、明確に決めておく事です。
必要書類を準備する
当日に持参する書類です。
■遺言者の印鑑証明書(3か月以内)
■遺言者と相続人の関係が分かる戸籍謄本(3カ月以内)
■住民票(財産をもらう人が相続人でない場合)
■固定資産税の納税通知書(市役所発行のもの)
■登記事項証明書
■通帳などのコピー
■その他、財産の内容が分かるメモ等
■立会人2名の住民票その他身分の分かる書類(運転免許証、保険証等)
■費用
証人を見つける事
公正証書遺言には2人の証人が必要です。もし、証人が見つからなければ、公証役場で有料で紹介して頂けます。
全体の流れ
弁護士に依頼する事もできますが、自分で準備する場合の流れについて説明します。
1.事前に公証役場に予約する。
2.本人が、必要書類を持参して、公証人と面談し、自分自身の意思を伝えます。
3.自分の意思について、間違いがないか、打合せが行われます。
打合せは出張や電話等でも可能です。
打合せ内容は、メールや郵送にて送付されます。
内容に問題があれば、再度打合せです。
4.問題がなければ、いよいよ、公正証書遺言の作成です。
遺言書の確認は公証人の読み聞かせにより行います。
確認次第、遺言者、公証人、証人がそれぞれ署名押印します。
5.最後に費用を支払って終了です。
公正証書遺言の費用
この費用は、政令で定められています。
基本的には、財産の価額で決まります。
■1,000万円まで 5,000円~17,000円
■5,000万円まで 23,000円~29,000円
■1億円まで 43,000円
■2億円まで ~69,000円
■3億円まで ~95,000円
以降10億円までは5,000万円ごとに11,000円を加算
10億円を超える場合は、5,000万円ごとに8,000円を加算です。
*ここでの注意点は、手数料は「受遺者ごとに分けて支払う」事です。
ですので、同じ金額でも、相続人が多いと、割高になる場合もあります。
その他に公正証書遺言書交付の手数料がかかります。
250円×枚数
更に、出張により、公正証書遺言を作成した場合は、手数料が通常の1.5倍かかりますし、公証人への交通費と日当もかかります。
公正証書遺言のメリットとは
何と言っても、遺言の中では、一番確実で安全な手段である事は間違いありません。
具体的には、自筆証書遺言のように、要件不備で無効になったり、遺言が紛失する心配もなく、相続が発生すれば、スムーズに遺産相続ができる事です。
公正証書遺言のデメリットとは
しかし、さすがの公正証書遺言でも、デメリットはあります。
それを正しく理解する事が大事です。
以下3大デメリットを書かせて頂きます。
手間も時間もかかる
自筆証書遺言と違い、1人ではできません。
まずは証人2人を探す事から始まります。
更に公証人との打合せも1度で終わる訳ではありません。
遺言内容が多くて、複雑であれば、何度も打合せをする必要があり、精神的にも肉体的にも労力を要します。
多くの費用が発生する
自筆証書遺言にこだわる方の多くが、費用の問題ではないでしょうか。
安全、確実で法的にもしっかり守られる分、当然、費用が発生します。
この費用が高いと感じるか、止むを得ないと感じるか。
価値観は、各々違います。
遺言の内容を他人に話さなければいけない
中には、これが最大のデメリットかもしれません。
できれば、自分の遺産相続は秘密にしておきたいものです。
ましてや、他人に自分の財産を全て知られる訳ですから、気持ちのいいものではありません。
最低でも、証人2人と公証人は内容を知る必要があります。
まとめ
尚、公正証書遺言については、法務の分野になりますので、事前に弁護士や司法書士、行政書士に相談する事をお勧めします。
自分の周りに、士業の先生がいない方、誰に相談していいのか分からない方がおりましたら、「相続診断協会」の専門家も紹介できますので、ご相談下さい。
本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
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