「知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」
<誰でも分かる金融用語・金融商品辞典>Vol.33
遺留分とはどういうことか?知らないと将来大変な事になりますよ!
遺留分とは
「遺留分」とは相続が起きた時に、相続人に最低限認められている遺産の取り分の事です。
そして、「遺留分」を請求する権利の事を「遺留分減殺請求」といいます。
尚、遺留分減殺請求は、2019年7月1日施行の法改正により、「遺留分侵害額請求」と名称が変わり、遺留分は現金で払う事になりました。
つまり、「お金を請求する権利」になったのです。
ー民法1028条ー
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に対して留保された相続財産の割合をいう。
相続人の兄弟姉妹以外の相続人には相続開始とともに相続財産の一定割合を取得しうる権利(遺留分権)が認められる。
なぜ、遺留分が必要なのか
遺産相続の基本は「遺言」です。
尚、遺言には3つの方法があります。
仮に、「遺言」がなければ、相続人全員の協議で、「遺産分割」を決めます。
今回の「遺留分」については「遺言」の内容が、例えば、相続人の一部の方に優遇されているような内容であったり、相続人でない方が100%相続するような極端な遺言だった場合に、被相続人(亡くなられた方)と密接な関係のある人が遺産を引き継げるよう配慮した制度なのです。
例えば、尊敬する父親が亡くなり、「遺言書」を見ると、遺産相続の全てを、父親の愛人に指定された場合、妻も子も遺産がもらえません。
そういう事態を防ぐ為に、相続人が主張できるのが「遺留分」です。
遺留分のしくみ
遺留分が認められている人
遺留分は、残念ながら、誰でも主張できる訳ではありません。
民法に規定があるのです。
基本的には、配偶者と子です。
尚、子が親より先に亡くなられていた場合は、代襲相続と言い、子の子、つまり孫に権利が継承されます。
親も認められています。
遺留分が認められていない人
一方で、遺留分が認められていない代表が兄弟姉妹です。
兄弟姉妹は、配偶者や子と比較し、被相続人との関係が薄いためです。
後は、下記に該当する方についても、遺留分は認められておりません。
■相続放棄された方
■相続欠格者
■相続人として廃除された人
■遺留分の放棄をした人
遺留分の割合
法定相続人が誰かにより、遺留分割合が決まります。
■配偶者のみ
・本来の法定相続割合は100%
・遺留分は2分の1(50%)
■配偶者と子1人
・本来の法定相続は各2分の1
・遺留分は各4分の1
■配偶者と子2人
・本来の法定相続は配偶者が2分の1、子各1人が4分の1
・遺留分は配偶者が4分の1、子各1人が8分の1
■配偶者と親
・本来の法定相続は配偶者が3分の2、親が3分の1
・遺留分は配偶者が3分の1、親が6分の1
■配偶者と兄弟姉妹
・本来の法定相続は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1
・遺留分は配偶者が2分の1、兄弟姉妹はなし
ここまでは、相対的遺留分、つまり全体の慰留分が2分の1のケースです。
次が、相対的慰留分が3分の1になるケースです。
■親のみ
・本来の法定相続は親100%
・遺留分は親3分の1
遺留分問題になりそうな事例
父親が愛人に遺産を分与
本来、愛人は法定相続人ではありません。
また、愛人の存在すら知らされていない場合に、父親全ての財産が愛人に指定された場合、妻や子が黙っているでしょうか?
間違いなく、妻や子は遺留分請求をします。
父親が3人の子の中で長男に全ての遺産を分与
子の数は3人に限定されず、複数であれば起こり得ます。
特に会社経営をされている父親が、自社株を含め、遺産全てを長男に指定した場合。
残りの子は遺留分請求をします。
再婚が絡むケース
再婚した父親が亡くなり、相続人が、前妻との子と今の子がいたと仮定。
今の子に遺産の全てを指定した場合に、前妻の子が遺留分請求をする可能性は高いです。
まとめ
実際に「遺留分減殺請求」をする事は、実は非常にやっかいな事なのです。
文章1枚で相手方がすんなり応じて頂ければいいのですが、現実は相手方との話し合いや、調停、裁判になるケースもあるのです。
ですので、まずは「遺留分」を侵害しない範囲での「遺言の作成」が必要であり、遺言の基本はやはり「平等」です。平等にできないのであれば、生前贈与や生命保険を活用した、相続が起こる前の早い段階での対策が必要になります。
相続のお話しをすると、多くの方が「自分には関係ない」と言われます。
ところが、家庭裁判所で行われた遺産分割調停のうち、全体の約77%は、相続財産が5000万円以下。
しかも約34%は1000万円以下で、本来は相続税を払わなくてもよい、「一般的な家庭」から起きているのが現実なのです。
いわゆる「争族」なのです。
相続の問題は、遺産が多い、少ないだけの問題ではないのです。
相続により起こる「親族間の心の問題」なのです。
それを理解できない方が、トラブルに巻き込まれているのが現実です。
そうならない為に、早い段階で、専門家にご相談される事をお勧めします。
本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
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