「知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」
<誰でも分かる金融用語・金融商品辞典>Vol.52
「代償分割」とは?具体的な活用方法を解説
代償分割とは
「代償分割」とは、相続が発生し、複数以上の相続人がいて、平等分割が難しい時に、一旦特定の者が被相続人(亡くなられた方)の遺産を取得し、その代償として、特定の者が自己の固有の財産を他の相続人に渡す方法です。
その際、代償交付するお金を「代償交付金」といいます。
代償分割が必要な理由
昨日の「争族」にも関連しますが、「遺産相続」の基本は平等です。
しかし、現実は遺産相続財産の多くが不動産で、その価額は時価で評価します。
ですので、被相続人(亡くなられた方)の相続財産だけで、残された相続人全員に対して、平等に遺産相続をする事は、かなり困難なのです。
そこで、相続人の中から、特定の者(多くは長男)が、まずは遺産を相続した上で、特定の者が、他の相続人に「代償交付金」を渡す事で、結果的に平等な遺産分割ができるのです。
具体的な代償分割方法
例えば、相続人は長男と次男。
相続財産は不動産が5000万円。預金が3000万円。
長男が不動産5000万円を相続。
次男が預金3000万円を相続。
そうすると、2000万円の差額が発生しますので、長男が、次男に1000万円の代償金を渡します。
但し、現実は、手持ちの現金がない為に、生命保険を活用します。
その活用方法も2パターンあります。
①契約者も被保険者も被相続人で、受取人を次男にする。
*この場合、次男は保険金を受取っておきながらも、死亡保険金は相続財産でない為に、長男に対して遺留分の減殺請求をする権利が残ります。
遺留分の減殺請求を封じる為に、次男が自発的に「遺留分の放棄」を家庭裁判所に行えば問題はありませんが、現実はスムーズにいきません。
更に、「代償分割」の趣旨は特定の財産を受取った相続人が「自らの財産を持って代償する」事であり、次男としては納得がいきません。
そこで②です。
②契約者は長男、被保険者は被相続人、受取人は長男。
*長男は受取った保険金の中から代償金を払う。
尚、長男には所得税(一時所得)が課税されます。
また、保険料負担者である長男に保険料の捻出が厳しい場合は、被相続人から、生前中に保険料分を贈与して頂く方法もあります。
いずれにしても、「争族」にせよ、「遺産分割」にせよ、相続が発生する前からの対策が重要です。
我が家は「資産がないから大丈夫」と思っている方が、実は一番問題なのです。
ご心配の方は、「個別相談」をご利用下さい。
本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
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