学生時代の年金未納で将来の年金額はどれくらい減額される?

公的年金

知らないと人生を10倍損する金のしくみ」Vol.126

学生時代の年金未納で将来の年金額はどれくらい減額される?

 

20歳になると国民年金に強制加入

20歳になると、突然日本年金機構から送られてくるのが「国民年金保険料納付書」です。

 

ご丁寧に、

月払用として16,470円の納付書が12枚

半年払用として97,990円の納付書が2枚

年払用として 194,090円の納付書が1枚

*いずれも、<令和5年度振替方法別割引額>

 

 

学生納付特例

多くの方は学生なので、「学生納付特例」を申請します。

 

ところが、何も申請をせず、「未納」。

卒業しても「未納」。

そんな方も現実おります。

 

では、未納状況が続くと、将来にわたり、どんな影響が出るのか、考えてみました。

 

年金未納が起きやすい3つの事例

学生時代の年金猶予

平成26年の国民年金被保険者実態調査によると、

学生納付特例を利用されているのは、全体の66%

 

②納付特例を利用せずに、保険料を納付されている方が22%

 

③納付特例も申請をしないで、未納になっている方が9.1%

 

②の方は、全く問題はありません。

 

①の方も、問題はありません。

できれば、卒業後「追納」できれば最高です。

 

そして、問題は③の方。

特例申請もせずに、未納の方

 

通常は2年間の未納、学生期間が長くなれば、未納期間も長くなる可能性は高いです。

 

 

転職の際のうっかり未納

そして、以外と多いのが、転職です

転職でも、転職先が厚生年金の加入事業所であれば問題ないです。

しかし、厚生年金適用外、適用だけど加入していない事業所に転職をした場合は、自分で国民年金第1号の届出をする必要があります

 

しかし、お仕事をされていますと、忙しくて、そのまま放置される方もおります。

 

特に、転職先が小規模会社、個人事業の商店等の場合は、要注意です。

 

 

自営業に多い「いつかやろう未納」

私の周囲にも、実は自営業の方が多いのです。

 

そして、残念ながら未加入の方も多いです。

 

最初から加入する気持ちすらない方もいれば、加入したいが保険料の負担も大きいので躊躇しながら、中々前へ進めない方。

 

いわゆる「いつかやろう未納」です。

 

 

ちなみに、年金滞納が続くと、強制徴収がされます。

 

その対象者の枠が年々厳しくなってきました。

 

■2014年度:年間所得400万円以上で13か月以上の滞納者

■2016年度:年間所得350万円以上で7か月以上の滞納者

■2017年度:年間所得が300万円以上で13か月以上の滞納者

■2018年度:年間所得が300円以上7か月以上の滞納者

 

 

年金未納で受給額減額される!

国民年金を満額受給する為には、40年間保険料を払う必要があります。

 

ところが、払わない期間があれば、1月単位で年金額が減額されます。

 

学生時代に2年間年金を猶予した場合

多くの方は18歳から22歳まで大学生です。

 

そこで、20歳から22歳までの2年間、学生納付特例を使った場合の影響を試算します。

 

学生特例を使わず国民年金を40年間払った場合の年金額(令和5年度)

795,000円×480月/480月=795,000

 

*月額:66,250円

 

2年間学生納付特例を使い、国民年金を38年間払った場合の年金額

795,000円×456月/480月=755,250円

 

*月額:62,937円

 

このように、学生納付特例を2年間使った場合は、将来的に年間で39,756円

月額で 3,313の減額になります。

 

おそらく、金額だけみると、大した影響はない、と見えますね。

 

では角度を変えましょう。

 

今の、国民年金保険料は16,520円です。

*令和5年4月。

 

仮に、2年間払う(もしくは追納で払う)と。

16,520円×12カ月×2年=396,480円

 

 

では、先程の年間差額の39,756円で割ると

 

396,480円÷39,756円=9.97

 

つまり、65歳から年金を受給開始にした場合は75歳以上生きれば、得をします。

 

しかも、終身です。

女性の方の95歳生存率は、約25%

 

4人に1人は95歳まで生存されてます。

 

そうすると75歳~95歳までのどれ位お得なのか?

39,756円×20年=795,120円

 

 

はい、この金額を見て、どう判断するかは、ご自身です。

 

転職の際に少しずつ未納の穴がある場合

平成26年の国民年金被保険者実態調査の年齢階級別保険料納付状況によると、1号期間滞納者の割合は30~34歳で32.6%と最も多く、これ以上の年齢階級では、滞納率が低くなっております。

 

つまり、若い時の滞納者が多いのです。

 

仮に、若い時に、トータルで5年間(60カ月)未納があった場合の減額です。

 

■795,000円×420カ月/480カ月=695,625

*月額:57,968円

 

つまり、満額受給できる方と比較して

年額で99,375円

月額で 8,281円の減額になります。

 

仮に、65歳から受給して、95歳まで生存すると、総額で

298万円の減額になります!

 

 

障害年金や遺族年金について

年金は老齢年金だけではありません。

障害年金や遺族年金もあります。

 

では、未納になった場合にどのような影響が出るのか考えましょう。

 

障害年金

障害年金を受給するには、3つの要件があります。

 

その中の1つに、保険料納付要件があるのです。

 

ですので、保険料の納付は必須なのです。

しかし、今現在保険料を納めているかどうかではないのです。

 

初診日の前日において次のいずれかを満たしていることが必要です。

①初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

 

初診日のある月の前々月までの年金加入期間の2/3以上の期間について、保険料の納付又は免除されていること。

 

そして、初診日というのは、いつ訪れるのか、誰も分かりません。

つまり、たまたま未納の時期が、保険料納付条件に該当しない時期と重なると

 

アウトなんです!!

ちなみに、障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があります。

 

障害基礎年金だけでも

1級で993,750円

2級で795,000円

 

これが、全くもらえない事態になるのです。

 

遺族年金

障害年金と同様に、遺族年金にも、要件があります。

その中に、現在被保険者の方にある要件がやはり保険料納付要件です。

 

■保険料納付期間が加入期間の3分の2以上あること

*ただし、平成38年4月1日前の場合は、死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます

 

やはり、未納はない方がいいのです!

 

 

未納の年金は後で納めることも可能!

今現在、様々な理由で未納の方、または、過去、未納期間があった場合は、後で納める事も可能です。

追納制度

追納制度は、過去10年以内の免除(学生納付特例、納付猶予含みます)期間について、保険料を納めることができる制度です。

 

実は、この追納制度を活用する事により2つのメリットが生じます。

①老齢基礎年金の年金額を増やす事ができる

②社会保険料控除により、所得税・住民税が軽減されます。

 

 

例えば、課税所得金額が300万円の場合

追納保険料が2年分(約40万円)を追納した場合は、所得税・住民税が最大約8万円軽減されます。

*日本年金機構のHPより

 

尚、追納を希望する場合は、年金事務所で申込を行っていただき、厚生労働大臣の承認を受けたうえで、納付書が渡されます。

最後に、年金については、制度の内容が複雑で、正確にご理解されている国民は、全体の1割にも満たないのが、現状ではないでしょうか。

 

しかし、現実年金というのは、老後生活に限らず、万一障害になった場合や、配偶者と死別された場合には、なくてはならない貴重な制度になります。

 

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本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

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