住宅ローンの組み方で失敗しないための3つのポイント

銀行融資・住宅ローン

知らないと人生を10倍損するお金のしくみ』Vol.225

 

住宅ローンの組み方でで失敗しないための3つのポイント

住宅ローン延滞

住宅転売

 

このようなニュースを見ると、非常に残念です。

10年間の銀行員生活で、住宅ローンの新規、借り換えを含め、100件以上の実務を経験。

 

銀行退職後は、FPとしても住宅ローンの相談を受ける機会が増えております。

その経験談からの発信です。

 

住宅ローン利用者の実態とは

住宅金融支援機構が定期的に、住宅ローン利用者の実態調査をされておりますが、2017年度第2回の調査結果から、以下の概要が分かります。

■住宅ローン利用者で一番多いのが、30歳代が約52%(2番目は40歳代で約26%)

 

■世帯年収で一番多いのが、400円超~600万円以下で約33%(2番目は600万円超~800万円以下で約17%)

 

■住宅の種類で一番多いのが、注文新築で約54%(2番目は新築マンションで約15%)

 

■金利タイプで一番多いのが、変動型で約57%(2番目が固定期間選択型で約30%)

 

ここまでの情報で感じるのは、やはり結婚をされて、お子様が出生をされた頃に、マイホームを取得され、金利の低い変動金利を選択をされている方が多い、という事です。

 

 

一方で、様々な理由で、住宅ローンの返済ができず、結果的に自宅を手放しされている方もいるのが現実です。

 

 

なぜ、住宅ローンの延滞は起きるのか

金融実務30年の経験からの結論です。

大きく2つです。

 

銀行の審査は、入り口のみです

つまり、住宅ローンを借りる方の今現在の状況が、住宅ローンの審査に合致するか否か、そこだけで判断します。

 

しかし、多くの方の現実の返済期間は35年間です。

その間、家族状況も大きく変わります。

特に重要なのが、お子様の成長に伴う教育費の支出です。

 

 

住宅ローンを借りる時は僅かな教育費の負担だったのが、お子様が大学に入学する頃から大きな負担に変わります。

 

つまり、お子様が大学に入学する段階で、約8割の家庭は、毎月の生活費の収支は赤字になります。

 

 

そして、何も準備をされていない家庭は、その段階で家計破綻になるのです。

残念ながら、銀行員で、10年後、20年後先まで見通して審査をされる方はごく僅かではないでしょうか。

 

現実、そこまで余裕がない。

審査で精一杯。

 

それは、私の経験談でもあります。

 

忙しい銀行員で、そこまで要求するのは酷なお話しかもしれません。

 

借りる側、ハウスメーカーにも問題有

住宅を購入したい」との気持ちは大事であり、理解できます。

一方で、「住宅を売りたい」とのハウスメーカーの気持ちも理解できます。

 

しかし、人生で一番大きなお金が動くのです。

やはり、事前準備は必要であり、特にお金の勉強は必要なのです。

 

以前、ハウスメーカーさんが作成した返済シュミレーションを見せて頂いた事があります。

しかし、残念ながら、非常に甘い内容です。

 

例えば

■収入の面では、ボーナスは当てにできません。

特に民間企業であれば、出ない事を前提に考えるべきです。

 

併せて、ボーナス返済の割合を30~50%に設定する事も非常に危険です。

 

極力、ボーナス返済なしで(もしくは10~20%程度)返済計画を立てるべきです。

 

なぜなら、ボーナスは必ず出る保証はありません。

不況時、有事の際は、出ないと覚悟する事が大事なのです。

 

■支出の面では、抜けている項目が多いです。

・定期的な外壁塗装費用。

・固定資産税。

・タイヤ交換を含む、車維持費用。

・火災保険・地震保険の更新保険料

 

そして、特に大きいのが、教育費です。

 

繰上げ返済はお得なのか?

まず、繰上げ返済には2種類あります。

1.期間短縮型

毎月の返済額を変えずに、残りの期間を短くする。

 

2.返済額軽減型

残りの期間を変えずに、毎月の返済額を軽減する。

 

単純に、利息の軽減負担が軽くなるのは、期間短縮型です。

 

では、具体的に効果を検証します。

■借入額:2,500万円 金利:1.5%(固定) 返済期間:35年

毎月返済額:76,546円

 

[1年後に100万円を繰上げ返済した場合の利息軽減効果を比較]

■期間短縮型:629,716円(返済期間が1年9ヶ月短縮)

■返済額軽減型:277,448円(毎月の返済額が73,415円に軽減)

次に注目する事は、時期です。

 

繰上げ返済は早い方がいいのか、遅い方がいいのか?

 

期間短縮型で比較します。

■  1年後:629,716円(1年9ヶ月短縮)

■10年後:420,508円(1年6ヶ月短縮)

■20年後:237,403円(1年4ヶ月短縮)

 

このように、繰上げ返済の時期は、早ければ早い程、利息軽減効果は高いのです

 

住宅ローン控除を使っているときの繰上げ返済は損しないか

よく、相談を頂くのが、住宅ローン控除を使える間は、繰上げ返済はしない方がいいのではないか、との事。

 

★「住宅ローン控除」とは、年末の住宅ローン残高の1%が10年間にわたり税金還付される制度です。

 

では、具体的に検証します。

■借入額:2,500万円 ■金利:1.5% ■返済期間:35年

 

*繰上げ返済をしなかった場合の税金還付額は

・初年度が244,987円

・以降、10年間の累計で約219万円

 

*1年後に100万円の繰上げ返済をした場合での税金還付額は

・初年度が235,220円(差額は9,767

 

ちなみに、繰上げ返済による利息軽減効果は629,716円

 

繰上げ返済をした場合の利息軽減効果の629,716

繰上げ返済をしなかった場合の、僅か9,767の差額と、どちらを選択しますか?

 

時間の都合上、10年間全ての計算は省略させて頂きましたが、実際に計算して頂ければ、どちらがお得になるかは、明らかになります。

 

住宅ローンで失敗しない3つのポイント

まずは、ポイントの前の前提として、金利、諸費用は安ければ安い程いいです。

しかし、変動金利型がいいのか、全期間固定金利型がいいのか、あるいは固定金利期間選択型がいいのか、ここが非常に難しい選択になります。

 

なぜなら、35年先の金利まで予測できる方はいません。

 

私が銀行にいた頃の住宅ローン金利は、変動金利で8.9%の時がありました。

 

まさか、その時に、今の0金利など、夢にも想像はできませんでした。

 

理想を言えば、金利の低い変動金利型でスタートして、金利が上昇する時期に固定金利に変更する。

 

しかし、実際、それは理想であり、実行する事は難しいのです。

ですので、正解はありません。

 

むしろ、違う角度からの大事なポイントです。

 

借入期間は最長の35年を選択する

まず、勘違いをして欲しくないのは、返済期間を35年にする事が目的ではありません。

毎月の返済金額は、負担のない範囲で設定をする事が大事です。

 

最初から20年、25年で設定すると、毎月の返済負担が大きくなります。

途中、返済が厳しくなった場合に、返済期間を20年から35年に変更する事は簡単ではありません。

 

逆に、35の返済期間を30年、25年、20年と短縮する事は簡単なのです。

 

期間を長くする事で

■毎月の返済負担の軽減

■住宅ローン減税の恩恵

■長期的な返済計画の変更

ができるのです。

 

繰上げ返済の計画的な活用

繰上げ返済の計画は、スタート時点で明確にするべきです。

特にお勧めは下記の2つ。

住宅ローン減税の活用

例えば、上記の検証例で見ても、住宅ローン減税による税金還付は、5年で100万円を超えます。

 

ボーナスの活用

ボーナス返済をしない分、貯まったボーナスで、計画的に繰上げ返済をする。

 

長い期間で検証すれば、繰上げ返済の利息軽減効果は高いのです。

 

教育資金の準備も同時スタートする

多くの住宅ローン利用者の大きな壁になるのが、お子様の教育資金です。

特に、大学入学時に大きなお金が動きます。

 

ここで、生活破綻する事のないように、計画的に、準備をする事です。

 

その上でポイントになるのは2点

児童手当の活用

児童手当は、教育資金準備の貴重な財源です。

使い方を知るか、知らないかで大きな差が出ます。

 

 

お子様0歳からの投資

投資の基本は長期です。

つまり、生まれた直後からの投資が最も効率よく運用ができます

 

多くの日本人が利用しているのが2つ。

■銀行預金

学資保険

 

しかし、残念ながら、銀行預金も学資保険も、今の時代は効率の悪い商品で増えません。

 

人生100年時代、住宅ローンで失敗しない為に、まずはお金の勉強です。

 

住宅ローンも教育資金も、老後資金も、実は全て、一つのテーブルで考えるべき大きな問題なのです。

 

悩むより、学ぶ、相談する。

 

個別相談もご活用下さい。

個別相談に申込します

 

本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

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