「知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」Vol.231
積立投資にもデメリットはある!ドルコスト平均法の弱点は?
投信「成績表」初の全社開示
2018年10月5日付の日本経済新聞の記事タイトルです。
「貯蓄から資産形成へ」「安定した資産形成」を普及させたい金融庁。
ついに、全金融機関に投信の「成績表」の開示を求めました。
開示結果を一言でまとめると
①好成績の金融機関は大手金融機関の系列に入っていない独立系
②鍵は「積立投資」
そして、最高の成績を出したコモンズ投信では98%の顧客が含み益を出しており、更に
①顧客の79%が積立投資
②2016年以前から継続的に投資している場合は99%以上の投資家が、プラスの収益率。
③マイナスになっているのは、一括で購入した投資家に目立つ。
では、単純に「積立投資」を始めれば、確実に利益は出せるのか??
残念ながら、そんなに簡単な事ではありません。
金融商品に完璧な商品などありません。
必ず、メリット・デメリットはあるのです。
大事な事は、デメリットを理解された上で、投資を始める事です。
まず知っておきたい投資一般のデメリット
まずは、積立投資に限らず、『投資』に関する一般的なデメリットを整理します。
元本保証がない
銀行の定期預金金利が0.01%。
それでも、日本人の金融資産の約52%が銀行預金。
おそらく、日本人の銀行離れが進まない最大の原因は、こんなイメージでしょうか。
「元本保証がない投資は怖い」
手数料等の運用コストがある
通常、投資信託で運用を始めると、様々な手数料が発生します。
銀行預金しか経験がない方には違和感があるのではないでしょうか。
積立投資ならではのデメリット3つ
投資には大きく2種類あります。
①一括投資
②積立投資
そして、①を利用する方は、割と投資経験が豊富な方が多い反面、②の場合は投資初心者が多い為、特有のデメリットが生じます。
ファンドの選択が難しい
おそらく、積立投資を始めようとされた方の多くの方が悩む問題が「ファンドの選択」です。
そもそも、各金融機関、投資信託の取扱本数が多すぎます。
証券会社であれば、各社1,000~2,000本は当たり前です。
「iDeCo」や「つみたてNISA」にすれば、ファンド数は厳選されるものの、それでも多いです。
しかも、ファンドの説明文章を読んでも、理解できる方が果たしてどの程度いるのか?
そして、この「ファンドの選択」次第で、将来の運用成績も決まってしまうのです。
短期運用には不向き
一括投資であれば、相場次第で短期間で利益を出す事は可能です。
しかし、積立投資の場合は、10年以内の期間で利益を出す事は難しいです。
ですので5年後の車購入資金、7年後の教育資金等の準備には不向きです。
特に10年以内の解約の場合は、余計な手数料が引かれ、元本割れするリスクに注意です。
相場下降時の解約は要注意
では、長期ならいいのか?
15年、20年なら問題ないのか??
ここでも注意は必要です。
例えばお子様が3歳の時に、15年後の大学入学資金準備として、積立投資をスタート。
毎月、コツコツ積上げました。
ところが、たまたま15年後に「リーマンショック」が起こり、相場が下落。
14年後に解約をしておけば、184万円だったのが、今解約をすると90万円に・・・。
お子様の大学入学資金支払の為に、ここで解約をされる方はデメリットになります。
しかし、逆にこんな時は、あわてずに、相場が回復するまで、辛抱強く解約をしない方はメリットになるのです。
ですので、相場下落時は考え方一つで、メリットにも、デメリットにもなります。
具体的に数字で検証しましょう。
投資の成績=量(口数)×価格
[毎月1万円を投資、基準価額は平均で1万円と仮定]
■14年後、口数は168口 基準価額を11,000円と想定
168口×11,000円=1,848,000円
■15年後、口数は180口 基準価額を5,000円と想定
180口× 5,000円=900,000円
ここでのポイントは、相場が下落しても、量(口数)は減りません。
逆に、増えていくのです。
*今まで、毎月1口購入できたのが、相場下落により2口の購入ができる。
つまり3年間で試算すると、36口が72口まで拡大できます。
では、仮に3年後に相場が戻ったとします。
■18年後、口数は252口 基準価額を10,000円と想定
252口×10,000円=2,520,000円
じゃあ、大学の入学資金はどうすればいいの??
国の教育ローンは、金利が1.78%(固定)
200万円を借りても、金利は年間で35,600円
一旦、教育ローンで借入して、相場が回復した時点でローンを完済する。
ドルコスト平均法の弱点
ドルコスト平均法について、勘違いされている方が多いのですが、金融商品ではありません。
毎月、決まった金額を積立投資する事です。
つまり、運用する手法の事です。
「ドルコスト平均法」について↓
そして、多くの金融機関が勘違いされ、誤った説明をさてている事がもうひとつ。
ドルコスト平均法は「平均買付単価が下がる」
結果として、平均買付単価が下がる事が多いのは現実ですが、残念ながら100%ではありません。
相場次第です。
必ずしも、平均買付単価が下がる訳ではないのです。
むしろ、ポイントは違うのです・・・。
では、ドルコスト平均法の弱点は何なのか??
金融機関、ファンドの選択で成績も変わる
改めて、整理をします。
「iDeCo」も「つみたてNISA」もドルコスト平均法を使った金融商品です。
では、iDeCoやつみたてNISAで運用されている方全員がプラス運用になっているのか?
残念ながら、冒頭の記事を見て分かるように、
購入する場所
購入するファンド
により、成績は大きく変わります。
ですので、ドルコスト平均法で成功したいのであれば、金融機関に全てを任せない。
大事な基本程度は勉強する。
価格上昇時の意外な弱点
多くの方は、相場が右肩上がりに上昇すれば、積立投資も儲かる、と思うのが普通です。
しかし、冷静に考えましょう。
相場が上昇すると、毎月買える口数は少なくなります。
つまり、意外と口数が増えていない事があります。
そして、突然、相場が下がったら、どうなるか?
もしかして、元本割れ!!
価格下降時の意外な弱点
一方で、相場が下落局面の時。
毎月購入できる口数は増えます。
チャンスなのです。
下落局面から、少しでも相場が回復すれば、利益は出るのです。
ところが、一向に相場が下がり続ける・・・。
或いは、ファンド自体が消滅してしまう・・・。⇒「繰上償還」
流石に、この状況では、損失が出る可能性が高いです。
より安全に積立投資をするために
ここまで読んで頂いた方は、積立投資に興味のある方です。
ですので、より安全に積立投資をするポイントを2つ解説をさせて頂きます。
推奨は3つ以上の分散投資
金融実務30年の経験から、何度も発信をしております。
日本の金融商品に完璧な商品はありません。
ですので、できれば3つ以上の複数の金融商品に分散をする事です。
更に、その上で、優先順位があります。
1位:非課税商品の活用
具体的には
■ iDeCo
■ つみたてNISA
年齢により、活用できない方もおりますが、金融庁も推奨する非課税商品は使うべきです。
2位:効率性の高い商品
具体的には
■投資信託・・・・・・・ほとんどの金融機関で販売中。
*『投資信託』の記事もご参照下さい。
■米国債(積立式)・・・ごく一部の証券会社で販売中。
*『米国債(ゼロクーポン債)』についての記事もご参照下さい。
■変額保険・・・・・・・一部の保険会社で販売中。
*『変額保険』の記事もご参照下さい。
一方で、積立投資に適さない商品もあります。
■投資信託でも、「毎月分配型」
投資信託の凄みは、分配金を分配せず、再投資する事で効率を高める事です。
いわゆる複利効果です。
しかし、冷静に考えて下さい。
分配金は通常は、利益が出るからこそ出すものです。
利益が出ないのに分配金を出しているのが、毎月分配型です。
そして、分配金を支払う為に、知らない間に、自分の投資したお金から充当されている。
⇒「特別分配金」
この繰り返しで、自分の投資したお金が減り続ける現実があります。
最大のポイントは金融機関とファンド選び
結論は2つです。
■どこで買うのか(証券会社、銀行)
■何を買うのか(ファンド)
これだけです。
しかし、この2点が、実はハードルが高いのです。
どこで買うかについては、冒頭の記事が非常に参考になります。
独立系投信・ネット証券のプラス比率が高いが
苦戦する銀行系
これだけでは、一概に判断はできませんが、ポイントは1つ。
誰に相談するかです。
ここの選択を誤ると、20年後、30年後に大きな差となります。
併せて、ファンド選びに自信がない方は、下記の記事もご参照下さい。
『50代の初心者でも分かる つみたてNISA ファンドの選び方』↓
『30代のフリーランス必見! iDeCo ファンドの選び方』↓
ここまでお読み頂き、具体的に資産運用したいが、何から始めたらいいのか、よく分からない方は
「個別相談」をご活用下さい。
本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
コメント