「知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」Vol.249
「老後30年、2000万円不足」報道の誤解
2019年5月22日以降、金融庁の発信する報告書が注目されています。
そして、6月7日に麻生金融相は、金融庁の報告書で定年後に夫婦で95歳まで生きるには約2000万円の金融資産が必要との試算を示したことについて「あたかも赤字になるような表現は不適切だった」と釈明しました。
では、今自分は何をしなければならないのか。
老後資金をどの程度準備しなければならないのか。
今、1人1人が真剣に考える時期なのです。
そもそも2000万円の算定根拠は?
まず、今回の2000万円という数字を示した前提は何か?
平均の不足額です。
そして、前提になる統計資料を見ると
①高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)
②上記の世帯の毎月の赤字額は約5万円。
そして、①の実収入を見ると、月191,880円です。
この数字からイメージできるのはこんな感じです。
■ご主人が40年間会社員。
■奥様が専業主婦。
これが、前提である、という事です。
つまり、毎月の赤字額が5万円で95歳まで生存した場合の不足額は
5万円×12カ月×30年(95歳ー65歳)=1,800万円
これが、約2000万円不足の計算根拠です。
しかし、これをまともに信じる事は危険です。
必要老後資金の計算基準は全員違います
当たり前の話しではありますが、平均はあくまで平均です。
実際に、皆さんが将来受け取る年金額は1人1人違います。
併せて、生活レベルも違います。
では、具体的に何が違うのか?
大きく2つの観点での確認が必要なのです。
基本は公的年金
老後生活の大きな柱は公的年金です。
事実、今の高齢者の生活の柱になっており、それは今後も変わりません。
しかし、ここから、大きく4つに分かれます。
①夫婦で厚生年金(旧共済年金を含む)
②ご主人が厚生年金、奥様が国民年金
③夫婦で国民年金
④年金未加入
実は、この①~④のどれに該当するかにより、将来の収入に大きく差が出ます。
例えば①であれば夫婦で30万円~40万円位。
②であれば、20万円前後。
③であれば、10万円~13万円位。
④であれば、0です。
実際は、②に該当される世帯が多いかもしれませんが、自営業の方は③か④になります。
実は、以前マネーセミナーにご参加をされた方に、質問をした事があります。
「自分が加入している年金の名前を分かりますか?」
ところが、国民年金なのか、厚生年金なのか、理解をされていなかったのです。
当然、その方は、将来自分が受け取る年金の金額など分かるはずがないのです。
ですので、大きなポイントの1つ目は公的年金です。
縮小傾向の退職金制度
今回、公表された金融庁の報告書の中には、注目すべきデータもありました。
それが、退職金給付の状況です。
注目するポイントは2つ。
①退職金制度がある企業の割合は低下している。
*2018年で約80%
②退職給付額が、ピーク時から約3~4割減少している。
*例えば大卒の給付額の比較
1997年:約3203万円
2017年:約1997万円
つまり、20年間で1,206万円の減少!
併せて、このデータもあくまで平均です。
つまり、会社の規模が小さくなるほど、給付額は少なくなる。
もしくは、退職金制度自体がないのです。
ですので、自分が今働いている会社で退職金がいくらもらえるのか?
非常に、大きなポイントになるのです。
確実な必要老後資金の計算方法
では、自分が必要な老後資金をどのように計算をするのか?
具体的に計算をしてみましょう。
収入金額の確認
1.公的年金の確認
確認する上での資料は「年金定期便」です。
そもそも「年金定期便って何ですか・・・?」
そんな方は、こちらの記事を読んでみて下さい。
そして、年金定期便は分かるけど、見方が分からない方は、こちらを。
「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド↓
実は2019年4月から「年金定期便」のデザインが変わりました。
大きなポイントは1つ。
繰下げ請求のしくみが加わったのです。
つまり、65歳からの受給を70歳に遅らせた場合のイメージを加えたのです。
年金の繰下げ請求についての記事もご参照ください。
繰下げ請求のポイントは1つ。
5歳請求を遅らせると42%年金額が増える。
但し、注意点も3つあります。
①70歳までの生活資金を確保する。
②年金額が増える事で税金・社会保険料の負担が増える可能性がある。
③年下の配偶者がいると加算される加給年金が出なくなる。
*「加給年金」については、記事をご参照下さい。
2.退職金制度の確認
実は、個別相談に来られた方に「退職金制度があるのか」聞いても、明確に答えられる方がほとんどいないのが現実です。
老後資金の準備をする上で、大事なポイントになりますので、是非、会社に確認をしてみて下さい。
支出金額の確認
この金額は、一度具体的に計算をしてみて下さい。
①基本生活費
②住宅改修費用(リフォーム等)
③車維持費、買換え費用等
④医療費、介護費用等
⑤臨時資金(旅行、子、孫への支援金等)
基本はやはり①です。
老後の生活費を25万円にするのか、20万円にするのか、大きな違いです。
そして、65歳から突然生活費を減らす事も大変な事です。
ですので、今から節制した生活習慣を作る事が大事になります。
この中で予測が難しいのが④です。
通常の病気であれば、毎月の負担は高額療養制度で抑える事はできます。
しかし、末期がん等の場合、自由診療で治療する場合は高額な費用が発生する事もあります。
中には、「自分はがん保険に入っているから大丈夫」と思われている方は、要注意です。
一度、下記の記事もご参照下さい。
昔のがん保険は使えませんよ!
理想的な老後資金の準備手段とは
ここでは、基本的な考え方だけお伝えさせて頂きます。
ポイントは2つしかありません。
時間を味方にする事
簡単に言えば、早く始める事です。
そして、長く続ける事です。
これが、一番大事なポイントになります。
時間を味方にできる方が最後は勝つ↓
理想は20歳からスタート。
しかし、究極のスタートは0歳なんです。
究極の0歳からの投資手段とは↓
投資の基本通りに実践する事
何事も基本が大事です。
ところが、多くの日本人は基本を無視して、目先の利益ばかりに目が移る方が多いようです。
では、投資の基本は何か?
長期・積立・分散
しかし、残念ながら、多くの日本人がやられてきた事は逆なのです。
短期・一括・集中
これでは、安定した老後資金の準備はできません。
そして、多くの50代の方が、私のブログを見て、相談に来られております。
相談に来られる方のお話しを聞いて、びっくりする事が2つあります。
①銀行を信用し過ぎてます。
②いまだに、お付き合いで、金融商品を購入されてます。
まず、①の件ですが、昨年、日本では初めてですが、貴重なデータが公表されました。
投信の成績表↓
つまり、同じ投資信託を購入しても、購入する場所で成績が大きく違うのです。
残念ながら、銀行から購入しても、約50%は赤字です。
なぜか??
投資に対して、正しい知識がないのか、自社の利益が優先なのか?
個人金融資産を増やすアドバイスができていないのが、全体的な印象です。
そもそも、銀行の本業は預金業務と融資業務です。
得意分野は財務分析です。
お金を貸す事であり、回収する事なんです。
投資業務にせよ、保険業務にせよ、元々の銀行業務の本業ではありません。
ですので、本当に詳しくプロと言える方は一部の方ではないでしょうか。
そして、個別相談に来られる方のお話しを聞かせて頂き、多い声があります。
「銀行に勧められて・・・・」
「銀行を信用したのですが・・・」
この現実を銀行は真摯に受け止めるべきです。
②についてですが、日本の文化なのでしょうか。
大事な金融資産を、お付き合いで入る。
お付き合いをする相手が、金融のプロであれば問題ありません。
しかし、自分の求めている理想像とかけ離れている状況が続けば、将来的に人間関係まで破壊する可能性もあります。
大事な金融資産は、金融のプロに相談をするべきです。
以上が、基本的な考え方です。
具体的にお話しを進めようとすれば多くの時間を要します。
ですので、ブログでは全てを紹介する事は困難です。
この記事だけでは、中々ご理解ができない場合は個別相談もご活用下さい。
時間をかけて、じっくりとお話しを聞き、アドバイスをさせて頂きます。
本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
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