「知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」Vol.264
火災保険は10年契約よりも1年契約の方が有利な理由とは
2019年10月1日。
いよいよ、消費税が10%になります。
既に、買い込みをされている方も多いかと思います。
しかし、上がるのは、消費税だけではありません。
郵便切手、JR運賃、食料品等々・・・・。
そして、火災保険料です。
今、新築住宅を購入される方は、10年の火災保険に加入します。
それが、当たり前のようになってますが、実はそれが正しいのか?
保険料だけを考えれば、10年一括は1年更新よりも安くなります。
でも、そもそも何の為の火災保険なのでしょうか。
ここ数年、日本国内は自然災害が増加しております。
本年も、台風15号により、千葉県内では深刻な影響が続いております。
被災されている皆様には、心からお見舞いを申し上げます。
そして、10年契約が当たり前の風潮に警鐘させて頂きます。
長期契約が主流となる2つの理由
銀行の住宅ローンの管理上の問題
私は1988年から10年間、銀行で住宅ローンの実務を経験させて頂きました。
当時の、住宅ローンの規定の1つを紹介させて頂きます。
「融資期間をカバーする火災保険契約を締結する事」
*文言は記憶の範囲です。
つまり、住宅ローンが30年であれば、火災保険は30年か31年。
住宅ローンが35年であれば、火災保険は35年か36年。
そうしないと審査が通らなかったので、当たり前のように思ってました。
ところが、ある時、お客様から相談を頂きました。
「火災保険は1年で契約をしたいのですが」
「35年分の保険料は払えません・・・・」
その時、初めて、銀行の本部にも連絡し、相談をしました。
そして、驚くべき回答がきました。
「1年じゃ、面倒くさい、管理ができない・・」
つまり、銀行の管理上の問題だったのです。
長期契約にする事で、お客様にメリットがある云々のお話しではなかったのです。
確かに、莫大な契約件数。
当時は、銀行本部にも、火災保険だけを管理する部署もありました。
1年毎に、お客様の火災保険の契約状況を確認する事は、確かに大変な事務になります。
一方で、契約者であるお客様の利益を除外したルールと言わざる得ません。
保険会社もお客様の囲い込みをしたい
いまや、自然災害が多発する時代となり、保険会社も苦労してますが。
一昔前までは、保険会社にとって、火災保険は儲かる商品でもありました。
ですので、あの手、この手を使い、お客様の囲い込みにも力を入れてきました。
そして、長期契約をする事で、保険料の割引を提供してきました。
住宅ローンを組む方も、火災保険料の割引は有難い事でした。
長期契約のデメリットとは何か?
実は、2018年9月5日。
台風21号の影響で、ご自宅に損害を受けられた方がおります。
その方の被害は、玄関先の街灯をも直撃。
そして、翌日に発生した、北海道胆振東部地震と合わせて、事故の報告を頂きました。
結論から申し上げますと、玄関先の街灯については、お支払いの対象外となりました。
仮に、この方をA氏とさせて頂きます。
A氏は、2009年12月に某保険会社と火災保険の35年契約を締結しました。
ところが、2009年12月時点での保険約款には、物置や車庫は、建物契約に含まれました。
一方で、屋外設備は含まれていなかったのです。
おそらく、保険会社も、そこまでは想定していなかったのです。
実は、某保険会社は2010年1月に約款改定があり、建物の中に屋外設備を含める事にしました。
つまり、契約が1月遅れていれば、保険金のお支払い対象になっていたのです。
いやいや、35年契約ではなく、1年更新であれば、何の問題もなくお支払いができたのです。
*保険約款は、基本的には、契約時点の約款が適用されます。
一部、新約款が適用になる事はありますが、稀なケースです。
実は、火災保険の約款は、改定の都度補償内容が拡大しております。
一言すれば、同じ保険会社でも、古い契約よりも新しい契約の方が補償内容がいいのです。
つまり、保険料だけを考えれば、10年契約。
補償内容を考えれば、1年契約。
では、貴方は、どちらを選択されますか?
大きく変革した火災保険の補償について
この20年間で大きく変わった火災保険の補償について。
どこが変わったのか、一部ですが、ご紹介させて頂きます。
セット販売からオーダーメイドの時代へ
昔の個人向けの火災保険は、2つしかありませんでした。
■住宅総合保険
■住宅火災保険
つまり、2つの選択肢しかなく、保険料も全社一律でした。
私の記憶では2000年以降、各社、独自の商品を出し始めました。
特に、強烈なインパクトを出したのが、AIU保険です。
*AIU保険は2018年1月からAIG損保になりました。
補償内容は、最低補償(火災・落雷・破裂、爆発)を除けば、全て自由設計可能です。
つまり、無駄な補償を外せば、保険料も大幅に削減ができるようになりました。
地震対応の特約が充実
今も、昔も、地震保険は、全損しても、火災保険金額の50%です。
そして、地震火災費用特約で5%を加え、55%の補償が上限でした。
ですので、地震で全損しても、自宅を復旧する事はできないのです。
そこで、地震火災費用特約の5%を拡充しました。
保険会社により、選択肢は異なりますが、最大で50%まで拡充。
結果、地震保険で50%、地震火災費用特約で50%。
あくまで、一定割合以上の損害に限定ですが。
全損であれば、100%補償。
つまり、自宅の復旧が可能になったのです。
自然災害の補償を拡大
風災・ひょう災・雪災。
実は、この自然災害の事故が一番多いです。
以前は、損害額が20万円でないと、補償の対象になりませんでした。
今は、損害額が20万円未満でも補償できる選択肢ができております。
保険料は高くなりますが、小損害でも補償が可能になったのです。
水災補償の拡大
実は、火災保険の中でも、非常に分かりづらい補償が水災補償でした。
住宅総合保険でも、水害による被害があっても、70%の補償が上限でした。
しかも、損害額が保険価額の15%未満の場合は、保険金額の5%しか補償されない。
非常に、中途半端で、分かりづらいしくみでした。
分かりづらさは継続されてますが、今は大きな損害であれば100%補償できるコースも選択肢として増えました。
特に、昨今は台風による被害が全国的に増加しております。
水害の補償は、要確認です。
屋外設備・付属建物が補償対象に
冒頭でも、事例として紹介をさせて頂きました。
建物に含まれる項目が増えたのです。
昔は、以下の4つでした。
■門・へい
■基礎工事
■畳・建具・造作
■物置・ガレージ
これに、各社プラスされました。
・AIG損保:付属建物、浴槽・調理台等
・東京海上日動:屋外設備装置
・三井住友海上:屋外設備(井戸、側溝、敷石等)、庭木
・セコム損保:敷地内に固定された屋外設備・装置等
電気的・機械的事故の補償を追加
電気的事故・機械的事故。
例えば、こんな場合です。
■照明設備の損害
■エアコンの故障損害
■アンテナ設備の損害
昔の保険は、全て免責事項(保険金のお支払い対象外)に該当しました。
最近は、特約を付帯する事で、補償が可能になる保険会社が増えてきました。(一部ご紹介)
■東京海上日動:建物付属機械設備等電気的・機械的事故補償特約
■セコム損保:建物付属機械設備等電気的・機械的事故補償特約
■三井住友海上:居住用建物電気的・機械的事故特約
これからは、補償の時代
一般社団法人日本損害保険協会の調査によりますと、2018年は自然災害による火災保険の支払保険金が、過去最大規模になる見込です。
*以下、2019年3月末時点での火災保険支払状況です。
■台風21号:9,202億円
■台風24号:2,855億円
■7月集中豪雨:1,519億円
その他に、大阪府北部地震、北海道胆振東部地震がありました。
一方で、少しでも保険料を安くしようと、本来必要な補償を削減して契約される方が多いのも現実です。
今回の千葉で発生しました、台風15号でご承知の通り、自然災害は突然やってきます。
そして、時には、我々の生活手段を奪います。
ですので、これからの火災保険は補償重視です。
そして、全ては、自己責任になります。
信頼できるプロに相談し、納得できる選択を!
本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
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