iDeCoのデメリットは?元本割れにも気が付かず運用中の方も!

お金を増やす(金融商品)

知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」Vol.273

iDeCoのデメリットは?元本割れにも気が付かず運用中の方も!

人生100年時代を迎える今、大事な事は老後資金準備です。

その中でiDeCoは、公的年金を除けば、最強の金融商品です。

 

一方で、使い方を誤ると、実は大きな損害になる可能性を秘めた商品なのです。

しかも、既に、スタートの時点で失敗をされている事に気が付いていない方が多いのが現状です。

 

一体、誰が教えるのか?

知らないと60歳以降、大変な事になります。

本日は、そんな大事な4つのデメリットを解説です。

 

元本保証と信じ、初めから元本割ファンドを選ぶ失敗

スタート時点で、既に元本割が確定。

残念ながら、約60%の方が、既にこのような事態になっているのです。

*今後、急激に金利情勢が変われば、事態は回避できますが・・・。

 

では、具体的に解説させて頂きます。

例えば、SBI証券のiDeCoの商品で検証です。

2019年11月23日現在の情報での検証です。

 

SBI証券のiDeCoの商品(ファンド)は大きく2つ。

■元本変動型:83本

■元本確保型: 4本

 

では、この元本確保型の4本の商品を検証します。

①あおぞらDC定期(1年)0.02%

*金利は2019年11月1日現在

 

②スルガ確定拠出年金スーパー定期(1年)0.01%

*金利は2019年10月31日現在

 

③スミセイの積立年金(5年)0.005%

*金利は2019年11月の保証利率

 

④第一のつみたて年金(5年)0.040%

*金利は2019年11月の保証利率

 

では、この中で一番金利の高い①のあおぞら定期で運用をします。

■毎月2万円を拠出

2万円×12カ月=24万円

 

・運用益(ざっくり)

24万円×0.02%=48円

 

・手数料(最低で試算)

月171円×12カ月=2,052円

 

48円(運用益)-2,052円(手数料)

-2,004円(1年の成績)

 

つまり、今の金利、手数料が変わらなければ、年間で2,004円の元本割です。

 

 

では、運用する商品(ファンド)の選択の実態はどうなのか?

■国民年金基金連合会 確定拠出年金統計資料(2002年3月末~2018年3月末)

・預 貯 金:37.3%

・保   険:22.8%

・投資信託等:39.5%

*元本確保型に入る預貯金と保険で60.1%です。

 

つまり、スタート時点で元本確保を信じ、元本割する商品を選択されている方が6割!

 

 

掛け金と手数料のバランスで失敗

iDeCoは、毎月5,000円から拠出できます。

しかし、掛け金が少ないと、やはり元本割する可能性が高いのです。

 

それが、手数料の存在です。

2019年10月1日の消費税増税の伴い、iDeCoの手数料が改定されました。

①国民年金基金連合会に払う事務手数料 105円

②事務委託先金融機関手数料 66円

③運営管理手数料(口座管理手数料) 金融機関による

 

 

③は0円から458円と幅が広いです。

しかし、最低でも月171円は自動的に引かれます。

 

例えば、毎月5,000円の拠出に対する手数料(171円)の割合はいくらか?

171円÷5,000円→3.42%!

 

つまり、3.42%を超える利回りがないと元本割になります。

 

仮に、金融機関の中には、手数料が合計で629円の銀行もあります。

そうすると、12.58%を超える利回りがないと元本割になります。

 

 

では、手数料を最低の月171円で検証します。

月の掛け金がいくらだと、損益分岐利回りはいくらなのか?

■ 5,000円→3.42%

■10,000円→1.71%

■23,000円→0.74%

さて、あなたの掛け金の損益分岐利回りはいくらですか??

 

転職が多い方の失敗

この話題はiDeCoではなく、確定拠出年金の企業型に加入の方になります。

世間では「DC難民」と呼ばれております。

 

その内容を解説させて頂きます。

誤解の多いポータビリテイー制度とは

転職しても、今まで積み上げてきた資産は持ち運びができます。

それだけを聞くと、安心します。

 

しかし、実態はどうなのか?

確かに、資産は持ち運びはできますが、大事なポイントがあまり知られてません。

 

資産を移す前に、年金資産は一旦現金化されます。

つまり、言葉を換えれば精算です。

 

今までの運用はどうなるのか?

たまたま、精算時の相場が下落時であれば・・・。

 

ですので、ポータビリテイー制度を使える事が必ずしもメリットにはならないのです。

 

悪夢の自動移管制度

転職をする時に、6カ月以内に所定の手続きをすれば問題はありません。

しかし、手続きを失念すると、どうなるか?

 

資産が国民年金基金連合会に自動移管されます。

 

そうなると、大きなデメリットが3つ起こります。

①資産の運用ができない。

②管理手数料だけが控除される(つまり、毎月資産が減り続ける)

③通算加入者期間に算入されない。

*受給可能年齢が遅くなり、併せて退職所得控除が減り、受取時の税金が増えます。

 

実は、既にこのような状況になっておられる方が、日本国内に多くいるのです。

 

 

出口戦略で失敗

特に、公務員や大企業にお勤めの方が対象になります。

60歳以降になると、いよいよ年金資産を受取る時期です。

 

受取る方法は3つあります。

■一時金で受取る。

■年金で受取る。

■一時金と年金と併用。

 

問題はここからなんです。

ポイントは税金です。

 

iDeCo特有の税金の落とし穴

通常、投資の運用益には、税金がかかります。

対象はあくまで運用益であり、払い込んだ元本にはかかりません。

 

ところが、iDeCoは一時金での受取時に元本と運用益の合計金額に対して税金がかかります。

 

えっ!

どういう事?

 

では、具体例で検証しましょう。

例えば、払い込み金額(元本)が100万円、運用益が20万円とします。

■通常の金融商品→20万円に対して税金がかかる。(利子所得、配当所得)

■iDeCo→120万円に対して税金がかかる。(退職所得)

 

一方で、退職所得には、退職所得控除という有難い制度があります。

ですので、まずは、この控除のしくみを理解する事が大事です。

 

ポイントは勤続年数です。

■勤続年数20年以下:40万円×勤続年数

■勤続年数20年超 :800万円+70万円×(勤続年数ー20年)

 

つまり、所得から控除できる金額は、こんな感じです。

・勤続20年→800万円

・勤続21年→870万円

・勤続30年→1,500万円

・勤続40年→2,200万円

ですので、退職金が控除内の金額であれば税金の心配はいりません。

 

では、問題は何か?

 

公務員、大企業勤務の方は退職所得控除が使えない??

ここで、1つ具体例で検証します。

 

■公務員の方で40年勤務、退職金が2200万円支給予定

・iDeCoも毎月2万円、40年間払込。払込掛金は960万円

・平均利回が3%で運用資産合計は約1,852万円。

 

つまり、公務員の退職金で2,200万、自分の努力で1,852万円、合計で4,052万円

では、この方が利用できる退職所得控除額は、いくらなのか?

800万円+70万円×(40年ー20年)=2,200万円

 

つまり、公務員の退職金で退職所得控除は使い切ります。

 

 

問題はiDeCoの一時金にかかる税金です。

このケースは退職所得に該当します。

 

つまり、運用益に対する税金ではありません。

一時金に対する税金になります。

 

今回は1,852万円の2分の1である926万円が課税所得金額になります。

 

*ここからは、私は税理士でない為に、細かい計算は割愛しますが、税金はいくらか?

約152万円です。

結構な金額になります。

では、一時金ではなく、年金でもらえばいいだろう、と思います。

ところが、年金にも税金はかかります。(雑所得)

 

但し、年金にも公的年金等控除額という有難い制度があります。

雑所得=年金収入金額ー公的年金等控除額

年金収入金額

公的年金等控除額

[65歳未満]

公的年金等控除額

[65歳以上]

130万円未満

70万円

 

120万円

130万円以上

~330万円未満

年金収入金額×25%

+37.5万円

330万円以上

~410万円未満

年金収入金額×25%+37.5万円

410万円以上

~770万円未満

年金収入金額×15%+78.5万円

770万円以上

年金収入金額×5%+155.5万円

*国税庁のHP[公的年金等の課税関係]より抜粋。

 

そして、実際に、税金がいくらかかるのか。

下記の所得税率表で計算ができます。

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5%

0円

195万円を超え330万円以下

10%

97,500円

330万円を超え695万円以下

20%

427,500円

695万円を超え900万円以下

23%

636,000円

900万円を超え1,800万円以下

33%

1,536,000円

1,800万円を超え4,000万円以下

40%

2,796,000円

4,000万円超

45%

4,796,000円

*国税庁のHP[平成31年4月1日現在法令等]より抜粋。

 

では、具体的に計算をしてみます。

■65歳以上で年金収入が月15万円のケース(年間収入が180万円)

180万円ー120万円(公的年金等控除額)=60万円(所得)

60万円×5%(所得税率)=3万円(税額)

 

 

では、iDeCoを年金で月10万円支給された場合です。

15万円(年金)+10万円(iDeCo)=25万円×12=300万円(年間収入)

300万円ー120万円(公的年金等控除額)=180万円

180万円×5%(所得税率)=9万円(税額)

 

つまり、税金を計算する上でのポイント

①公的年金等控除額の確認

②所得控除できる項目を確認する。

(医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除等)

③税率の確認

 

その上で、iDeCoを一時金で受取るか、年金で受取るかを検討します。

その時に、併せて検討するポイントが2つです。

①何歳まで仕事をするのか。

②何歳から年金をもらうのか。

 

ですので、例えiDeCoで大きな利益を出せても、出口戦略で失敗すれば、多くの税金が取られ車1台分、外壁塗装1回分の費用が消えてしまう可能性もあるのです。

 

結論として、iDeCoは有力な金融商品である事は変わりません。

しかし、入口戦略、出口戦略とも誤ると、笑顔の老後生活が一転する可能性もあるのです。

 

ご心配な方は個別相談をご活用下さい。

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本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

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