火災保険で失敗しない為の契約時の8つの確認事項を徹底解説

損害保険・地震保険・共済

知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」Vol.275

火災保険で失敗しない為の契約時の8つの確認事項を徹底解説

ここ数年増え続ける自然災害。

併せて、増え続けているのが火災保険の契約確認と見直しの相談です。

 

住宅購入時に説明を受けているはずなのですが、多くの方は誤解をされております。

というより、事故が発生する事は想定していないので、真剣には考えていなかった方が多いのです。

 

そして、自然災害が発生する度に、こう思います。

「自分の火災保険は大丈夫だろうか・・・」

 

本日は、火災保険で失敗しない為に、契約時に確認すべき事項について解説をさせて頂きます。

 

保険の目的は何なのか

実は、意外と多い勘違いが保険の目的です。

通常は3つの選択肢です。

■建物と家財の補償

■建物のみの補償

■家財のみの補償

 

多くの方は、建物のみでご契約をされております。

しかし、事故が発生すると、「何でも保険で出る」と思う方が多いのです。

 

実は、先日落雷事故が発生しました。

落雷により、電話機が故障しました。

 

この場合、保険の目的に家財が入っていれば支払いの対象になります。

 

しかし、建物だけでは、支払いの対象外になります。

 

併せて、保険の目的が建物であっても、保険の対象に含まれるものがあります。

 

例えば、「門、塀、垣」「物置や車庫」「屋外設備・装置」等々。

 

中には、庭木も含まれる保険会社もあります。

 

ですので、契約時に、自宅の敷地内でどこまで補償されるのか、確認が必要です。

 

 

補償内容は6項目から選択

補償内容は、保険会社により選択方法が違います。

多くの保険会社は2つか3つのセットプランからの選択です。

AIG損保だけは、火災、落雷、破裂・爆発以外は全て自己選択です。

*2019年12月現在

言葉を換えれば自己責任になります。

 

では、具体的に主な保険会社の補償内容を検証します。

火災・落雷

破裂・爆発

風災・雹災

雪災

水災

水漏れ、建物外部

からの物体落下等

盗難

破損、汚損等

東京海上日動

 必須

必須

*1必須

必須

必須

 選択

三井住友海上

必須

必須

選択

必須

(水濡れのみ)

必須

 選択

損保ジャパン日本興亜

 必須

必須

選択

選択

選択

 選択

あいおいニッセイ同和

 必須

必須

選択

選択

選択

 選択

AIG損保

必須

選択

選択

選択

選択

 選択

セコム損保

 必須

必須

選択

選択

必須

 選択

*1:東京海上日動の水災はマンションの場合は補償しません。

 

特に注意すべき事は選択です。

言葉を換えれば選択部分は自己責任になります。

 

安易に保険料を安くしたいだけの判断をすれば、事故時に後悔する事になります。

 

水道管凍結による損壊

特に、寒い地域であれば、水道管凍結による損壊事故も発生します。

 

基本的には、2つの事故が考えられます。

■水道管の凍結のみ:補償の対象外

■水道菅の凍結により、給排水管が破裂し、給排水管の修理、交換→補償の対象

では、どの補償項目で対象になるのか?

■セコム損保は、自動的に「水道管凍結修理費用」がセットされます。

■多くの保険会社は「破損・汚損等」「不測かつ突発事故」で補償します。

但し、ほとんどの保険会社が、修理費用は10万円が限度です。

 

 

風災・ひょう災・雪災の支払い条件の確認

かつて、住宅総合保険の時代は、一律に同じ条件でした。

損害額20万円以上が支払い対象。

 

しかし、今は、保険会社により、選択肢ができましたので、確認が必要です。

以下、簡単にまとめました。

風災・雹災・雪災の支払い条件

東京海上日動 ■免責金額を主契約に合わせる

「0円」「5千円」「3万円」「5万円」から選択

■免責金額を選択「10万円」「20万円」

三井住友海上 ■20万円以上の損害が対象

■免責金額を選択「1万円」「3万円」「5万円」「10万円」

損保ジャパン日本興亜 免責金額を選択

「0円」「1万円」「3万円」「5万円」「10万円」

あいおいニッセイ同和 免責金額を選択

「0円」「1万円」「3万円」「5万円」「10万円」

AIG損保 ■1型(自己負担なし型)

■Ⅱ型(損害額が20万円以上が支払い対象)

セコム損保 条件なし

理想を言えば、自己負担は、ない方がいいです。

一方で、条件をよくすれば、保険料も高くなります。

ですので、これは自己判断になります。

 

水災の支払条件

実は、火災保険の中で、一番複雑なのが、水災です。

特に、最近は台風の影響で国内全体で水災事故が多発しております。

 

一方で、支払い条件が分かりづらいのが特徴でもあります。

各社共通する事は2つ。

①損害割合が30%以上

②地盤面より45㎝を超える浸水

問題はその次です。

損害額が全額補償されるのか?

 

ここは、各保険会社の契約内容により違いが出ます。

特に、保険料を安くする為に縮小支払特約を設定された場合は減額されますので、要確認です。

水災の支払い条件

東京海上日動 ■地盤面より45㎝を超える浸水

■損害割合が30%以上

*水災縮小支払特約(一部定率払)あり

三井住友海上 ■床上浸水

■地盤面より45㎝を超える浸水

*水災支払限度額特約(30%、10%)あり

損保ジャパン日本興亜 ■再調達価額の30%以上の損害がある

■床上浸水を被った結果、損害が生じた場合

*水災支払方法縮小特約(縮小割合70%)あり

あいおいニッセイ同和 ■再調達価額の30%以上の損害

■地盤面より45㎝を超える浸水

AIG損保 ■再調達価額の30%以上の損害

■地盤面より45㎝を超える浸水(再調達価額の30%未満の損害)

契約方式は2つから選択

1型:100%(損害額)

Ⅱ型:100%(一部定率)

セコム損保 ■保険価額の30%以上の損害

■床上浸水または地盤面より45㎝を超える浸水

 

意外と使える費用保険金のしくみ

各保険会社により、多少の違いはありますが、最低限付帯した方がいい費用保険金が2つあります。

理由も含めて解説をさせて頂きます。

 

事故時諸費用保険金

損害保険金が主契約から支払われる時に、別枠で支払われます。

別名でお見舞金とも呼ばれております。

 

では、何故必要なのか?

 

まずは、事故発生から保険金の支払いまでの流れを解説します。

例えば、水道管が破裂し、水漏れ事故が発生した、と仮定。

■事故発生(代理店or保険会社に報告)

■損害調査

・鑑定人の立ち合い。

 

・修理業者への見積依頼。

■支払の決定

では、支払はどのように決まるのか?

①修理業者の見積書

②鑑定人の調査レポート

現実は、鑑定人が修理業者の見積書を精査し、保険会社にレポートを提出します。

 

そのレポートを基に、保険会社の担当者が決定します。

 

例えば、修理業者の見積金額が100万円。

鑑定人のレポートに基づき、保険金の支払いが90万円に決定。

 

 

ですので、見積金額=支払金額にならない事もあります。

今回は、10万円の差額が発生します。

ここで、助かるのが、事故時費用保険金です。

 

 

多くの保険会社が2パターンの選択肢を準備してます。

■損害保険金の10%(100万円or300万円限度)

■損害保険金の30%(300万円限度)

 

仮に10%であれば90万円とは別枠で9万円。

仮に30%であれば90万円とは別枠で27万円が支払われます。

 

併せて、事故が発生すると、復旧以外にも様々な費用が発生します。

その為にも、事故時諸費用保険金は必要な補償なのです。

 

地震火災費用保険金

地震保険は全損でも、火災保険の50%が上限です。

そこで、注目されているのが地震火災費用保険金です。

 

建物が半焼以上になった場合に限定されますが、別枠で支払われます。

各保険会社により、条件は違いますが、多くは下記の内容です。

■契約金額の5%

■契約金額の30%

■契約金額の50%

 

つまり、地震により、建物が半焼以上になった場合に地震火災費用保険金の50%を選択していれば、地震保険で50%、地震火災費用保険金で50%。

 

これで、建物の復旧(建替え)が可能になります。

 

地震保険の目的としくみ

実は火災保険と地震保険は、しくみも目的も違います。

 

■火災保険→復旧実際の損害金額を支払う。

■地震保険→生活支援→損害金額は関係なく、一時金を支払う。

 

では、地震保険のポイントは何か?

主要構造部の損害です。

具体的には、基礎・外壁・軸組・屋根

[基礎]

[外壁]

[軸組]

[屋根]

 

この4か所の損害状態で以下の5区分の判定になります。

認定内容

支払い保険金額

全損

地震保険契約金額の100%

(時価限度)

大半損

地震保険契約金額の60%

(時価の60%限度)

小半損

地震保険契約金額の30%

(時価の30%限度)

一部損

地震保険契約金額の5%

(時価の5%限度)

無責(支払対象外)

         0%

例えば、火災保険の建物で2,000万円の保険金額と仮定。

地震保険の保険金額は1,000万円が上限になります。(火災保険金額の30%~50%)

 

■全損:1,000万円

■大半損:600万円

■小半損:300万円

■一部損:50万円

■無責 :  0円

つまり、地震で全損しても、建物の復旧はできないのです。

ですので、地震火災費用保険金で50%の契約が必要なのです。

 

地震保険について、更に詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照下さい。

知らないと損する地震保険のしくみ

 

免責事項(保険金をお支払いできない事項)

残念ながら、今だに「保険は何でも出る」「脅せば出る」・・・。

こう思われている方がいるのが現実です。

 

しかし、保険には「免責事項」があり、保険金をお支払いできない事があります。

代表的な事項を紹介させて頂きます。

故意(わざと、自分で事故を起こす)

重大な過失法令違反によって生じた損害

*重大な過失となる例(一部紹介)

・ストーブの近くに布団を置いていた。

・寝たばこ。

・ガスコンロに天ぷら油の入った鍋をかけ、過熱したままその場所を離れ、天ぷら油に引火して火災が発生。

■保険の対象の欠陥による損害

■保険の対象の自然の消耗、劣化等

戦争、革命、内乱、暴動による損害

 

 

また、免責事項の中では、「不測かつ突発事故」「破損、汚損等」の事故の場合に限定し、保険金の支払い対象外になる項目もあります。

■電気的・機械的事故(故障)によって発生した損害

■電球、蛍光管、ブラウン管等の管球のみに生じた損害

■土地の沈下、隆起等によって生じた損害

 

 

また、「家財」で「不測かつ突発事故」「破損、汚損等」の事故に関係する免責事項もあります。

■義歯・義肢・コンタクトレンズ・眼鏡・補聴器等の身体補助器具

■携帯電話・スマートフォン等の携帯式通信機器およびこれらの付属品

■無人機・ラジコン

■動物および植物

 

特に、混乱が多いのが「建物の老朽、劣化」による損害です。

最近、自然災害も増え、台風の影響で建物の一部が損害を受ける事故が多発してます。

その時に、損害の原因が「台風なのか」「老朽、劣化なのか」は判断が難しいのです。

現実は、双方の原因が発生要因になる事もあり、保険金の支払いも全額は補償できないが、ある程度までは補償する・・・・。

 

そんな事例が最近増えております。

 

ですので、まずは、信頼できる代理店にご相談下さい。

 

保険の終了

ご自宅を新築し、火災保険を契約する場合、最長の保険期間は10年です。

ですので、10年後には、再度継続の手続きが必要になります。

 

 

ところが、保険期間終了を待たずして、保険契約が終了する事もあります。

その1つを確認させて頂きます。

 

 

基本的に火災保険は、保険期間中であれば、何度でも使う事はできます。

ところが、1回の事故で保険会社の決められた金額に相当する保険金を受け取った場合は、保険契約は終了します。

 

保険会社名

保険契約の終了条項

東京海上日動 保険金額の100%に相当する金額以上
三井住友海上 保険金額に相当する額
損保ジャパン 保険金額の80%に相当する額を超える
あいおい損保 保険金額に相当する額
AIG損保 保険金額の80%に相当する額を超える
セコム損保 保険金額の80%を超えた場合

*各保険会社の約款より抜粋

 

このように、各保険会社、多少の表現の違いはありますが、内容はほぼ同じです。

保険金額の100%か80%。

 

つまり、例えば火災保険金額が2,000万円の契約であれば1,600万円か2,000万円に相当する保険金の支払いがあれば、その時点で保険契約は終了になります。

 

時効

2018年9月6日。

北海道では、胆振東部地震が発生しました。

今でも、毎週、事故の報告を頂きます。

そして、鑑定人の調査を行った上で、保険金のお支払いをさせて頂いております。

 

では、いつまで可能なのか?

実は、火災保険の保険金請求する権利には時効があります。

ですので、時効が過ぎると、基本的には請求権はなくなります。

 

どの保険会社も、時効は3年です。

 

ここでも注意が必要です。

3年以内であれば請求はできますが、当然事故の証明が必要です。

 

例えば、損害の写真

 

修理したのであれば、見積書、請求書、領収書等

 

更に家財関係の損害であれば、購入時の領収書や保証書

何もなければ、保険会社も査定ができません。

 

ですので、事故が発生した場合は、必ず写真を撮る。

そして、すぐに代理店に連絡をする。

 

そもそも多いのは、事故の報告漏れです。

どんな場合に保険が使えるのか?

これは、契約時に何度も確認してください。

 

通知事項

実は、意外と漏れが多いのが、通知事項です。

契約以後、10年以上経過すれば、様々な変更が生じる場合もあります。

例えば、こんな事例があります。

 

■増築して、延床面積が増えた。

■自宅を事業用に使う事になった。

■自宅の一部を喫茶店、美容院にする。

■自宅の住居表示が変更になった。

■自宅を売却した。

■自宅の所有者を変更した。

 

いずれも、通知事項に該当します。

例えば、自宅を増築したのに、通知を忘れたまま、事故が発生した場合、どうなるか?

 

結論から言えば、保険金の支払いまで時間を要し、更に保険金の支払いが減額されるか、追加の保険料が徴収される可能性もあります。

 

実は、最近、このような事例が増えております。

ですので、自宅の環境が変われば、まずは代理店に連絡をして下さい。

 

本日、ご紹介させて頂きました内容は、必要最低限の情報になります。

火災保険はしくみが複雑であり、且つ改定も多い保険の1つです。

ですので、プロによる相談、見直し、事故対応が必要です。

 

事故が発生してからでは遅いのです。

まずは、今の契約内容がどうなのか?

 

確認してみて下さい。

本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

 

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