在職老齢年金とは?働きながら年金をもらうと損なのか?

公的年金

知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」Vol.276

在職老齢年金とは?働きながら年金をもらうと損なのか?

働く高齢者の年金制度を巡り、厚生労働省、政府与党、社会保障審議会が熱い議論を。

そして、2020年1月から始まる通常国会で、改正法案が提出されました。

 

そもそも、働きながら年金をもらうと、年金が減らされる?

それって、損なの??

 

2019年11月はツイッターでも、この「在職老齢年金」について、熱い論議がされました。

在職老齢年金について、よく分からない方は、こちらの記事もご参照下さい。

在職老齢年金の仕組みを解説です

 

「損する」、「減らされる」・・・。

ネガテイブな言葉だけが先行され、勘違いされている方も多いのが現実です。

 

まずは、在職老齢年金について、正しく理解しましょう。

 

在職老齢年金の対象になる年金

結論

①自営業の方は、全く関係のないお話しです。

②厚生年金も全てが対象ではないのです。

 

 

ちなみに、厚生年金も大きく3つあります。

①老齢厚生年金(対象)

②遺族厚生年金(対象外)

③障害厚生年金(対象外)

 

この中から、①の老齢厚生年金が対象なります。

 

 

更に、老齢厚生年金の中味も大きく2つに分かれます。

①定額部分(基礎年金部分)→全国民共通の基礎部分。

②比例部分(報酬比例部分)→報酬により上乗せされる部分

 

この中から、②の比例部分が対象になります。

 

収入の全てが減額の対象になるのではない

今の時代、様々な働き方があります。

そして、人生100年時代に向けて、様々な稼ぎ方もあります。

 

今回、減額の判定となる収入は、給与収入のみが対象になります。

ですので、不動産収入や株等の配当収入は対象外になります。

 

そして、給与収入の全てが対象になるわけではありません。

年齢により、一定金額を超えた部分が対象になります。

 

具体的には、大きく2つに分かれます。

65歳未満の方

①年金月額(老齢厚生年金の報酬比例部分)

②給与(標準報酬月額)

③過去1年以内に貰った賞与の総額を12で割った金額

 

この①~③の合計金額が28万円を超えた部分

 

つまり、28万円が停止基準額になります。

 

そして、実際に停止になる金額は28万円を超えた金額の2分の1です。

 

 

では、具体例で確認します。

①年金月額が12万円

②給与が20万円

③賞与が15万円

①~③の合計金額が47万円

 

47万円―28万円=19万円(基準額を超えた金額)

19万円÷2=9万5千円(年金停止額)

 

12万円ー9万5千円=2万5千円(減額後の支給額)

 

65歳以上の方

一方で、65歳以上の方は、停止基準額が47万円になります。

 

 

減額される年金額は

60~64歳で減額される年金額一覧

 

 

賃金月額

老齢厚生年金(比例報酬部分)

10万円

12万円

14万円

16万円

18万円

20万円

15万円

なし

なし

5,000円

15,000円

25,000円

35,000円

20万円

10,000円

20,000円

30,000円

40,000円

50,000円

60,000円

25万円

35,000円

45,000円

55,000円

65,000円

75,000円

85,000円

30万円

60,000円

70,000円

80,000円

90,000円

100,000円

110,000円

 

65歳以降に減額される年金額一覧

 

賃金月額

老齢厚生年金(比例報酬部分)

10万円

12万円

14万円

16万円

18万円

20万円

15万円

なし

なし

なし

なし

なし

なし

20万円

なし

なし

なし

なし

なし

なし

25万円

なし

なし

なし

なし

なし

なし

30万円

なし

なし

なし

なし

5,000円

15,000円

 

 

停止された年金は戻らない

停止」という言葉だけを聞けば、『仕事を辞めれば、停止された年金は戻るだろう』と考えるのは当然です。

 

しかし、残念ながら、停止された年金(減額された部分)は戻りません。

 

併せて、仮に、年金を繰下げ請求する場合に、減額された部分は、本来、繰下げ請求により増額になるはずの年金が増額の対象外になってしまいます。

 

 

働きながら年金をもらうと本当に損なのか?

実際に、年金を停止されている方がどの程度いるのか?

■60歳前半の在職老齢年金受給権者は120万人

在職停止者数は全体の約55%で約67万人

 

■65歳以上の在職老齢年金受給権者は248万人

在職停止者数は全体の約17%で41万人。

*厚生労働省年金局2019年11月13日付第14回社会審議会年金部会資料2より

 

停止という言葉だけを聞くと、何か損をしたように感じるのも現実です。

 

60歳前半の在職老齢年金について、更に様々な角度から検討します

①60歳前半の在職老齢年金で、実際に停止されている方は63歳~64歳です。

*つまり、5年間ではなく2間が実際の停止期間になっています。

 

②60歳前半の在職老齢年金については、厚生年金の支給開始年齢の段階的引き上げが完了する。

2025年以降は対象者はいなくなります。(女子は2030年)

 

*そもそも、厚生年金の支給開始年齢は55歳でした。

今は、それを段階的に65歳まで引き上げる移行期間中であり、男性は2025年で完了します。

 

つまり、男性では1961年4月2日、女性では1966年4月2日以降の生まれの方は、最初から65歳支給なので、60歳前半の在職老齢年金制度は関係ないお話しなのです。

 

③停止された年金は戻らないが、60歳以降に払い込んだ保険料は退職時に年金給付の増額として反映されます。→退職改定による増額

 

④そもそも、払い込んだ保険料が戻らない、というお話しではないのです。

 

*日本の公的年金は積立方式ではなく、自分が納めた保険料は、その時の年金受給者への支払いにあてる「賦課方式」です。

 

今後の予定

2020年もスタートし、いよいよ通常国会も始まりました。

公的年金に関する改正案も提出されました。

 

その中で注目は、やはり「在職老齢年金制度」です。

2019年度後半は、激しい議論が繰り広げられました。

 

そして、最終的に落ち着いたのが、65歳未満の基準額の見直しです。

現行の28万円から47万円に引き上げられる事が決定しました。

 

但し、2022年4月以降の変更になります。

 

これにより、今まで65歳未満で仕事をしながら年金をもらい、結果、年金を減額(停止)されていた方の約3分の2の方が、減額されずに済むのです。

 

 

ですので、実は非常に大きな改正になりました。

 

これから年金をもらう方で、働きながら年金をもらう事について不安な方、よくわからない方は、個別相談もご活用下さい。

 

個別相談に申込します

 

 

本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

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