新型コロナウィルスが原因で会社を休んだ場合の休業手当は?

社会保障

知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」Vol.286

新型コロナウィルスが原因で会社を休んだ場合の休業手当は?

一体、どこまで感染が拡大するのか?

2020年2月25日現在で、新型コロナウィルスに感染された方が159人。

そして、僅か6日で、感染者は256人(クルーズ船を除く)まで拡大。

 

厚生労働省は2020年1月28日に、新型コロナウィルスを「指定感染症」に指定する政令を閣議決定しました。

 

以後、新たな患者が増え続けております。

 

一方で、新型ウィルスが原因で、止むを得ず、仕事を休む事になる方も増え続けてます。

その場合の休業手当はどうなるのか?

休業手当が出ない場合の補償はないのか?

 

厚生労働省の見解

厚生労働省のHPでは、新型コロナウィルスが原因で休業した場合の取り扱いについて、Q&A方式で公表をされております。

ホーム|厚生労働省
厚生労働省の取り組んでいる政策情報、報道発表資料、統計情報、厚生労働白書について紹介しています。

 

一番上の「新型コロナウィルス感染症について、こちらをご覧ください」をクイックです。

このような画面が出ます。

その中に、休業手当についてのQ&Aが記載されております。

 

法律の条文で解釈をするなら、以下の条文です。

使用者の責に帰すべき事由による休業』に該当するか否かです。

*労働基準法第26条

 

言葉を変えれば、使用者に責任があるのか、ないのかです。

 

では、具体的に厚生労働省のQ&Aを解説させて頂きます。

 

都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業した場合

2020年2月1日付けで、新型ウィルス感染症が「指定感染症」と定められました。

この事で、仮に労働者の感染が確認された場合は、都道府県知事が就業制限や入院の勧告ができるのです。

 

つまり、就業禁止の通知を受けます。

勧告をされた労働者は、それに従う義務が生じます。

 

このケースでは「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しませんので、会社が休業手当を支払う義務は生じません。

 

使用者の自主判断で休業させる場合

例えば、熱が37.5度以上あり、新型コロナウィルスの感染が疑われる場合、且つ使用者の自主判断で従業員を休業させる場合は「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまりますので、会社には休業手当を支払う義務が生じます。

 

但し、従業員が自主的に休まれる場合は、通常の病欠と同様の扱いになりますので、会社に休業手当を支払う義務は生じません。

 

ですので、実は、ここで矛盾が生じます。

 

同じような症状でも、①自主的に休むのか、②会社が休ませるのか、により判断が分かれてしまうのです。

 

新型コロナウィルスの影響で事業の休止となる場合

実は、この騒動で、経済が全体的に縮小、自粛の流れになってます。

これから心配されるのは、事業の縮小、事業の休止、廃業です。

 

既に、愛知県の老舗旅館が、新型コロナウィルスの影響で、主力にしてきた中国人からの団体客のキャンセルが相次ぎ、廃業された、との報道もありました。

 

仮に、新型コロナウィルス感染症により、事業の休止などを与儀なくされ、労働者を休業させる時は、様々な事業の状況や休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案して判断をする事になります。

 

大事な事は、会社と従業員の対話です。

双方が、お互いを尊重し、理解し、信頼を重ねる事が大事です。

 

会社員(社会保険に加入)は傷病手当金が使える

仮に、休業手当が支給されなくても、社会保険に加入の従業員であれば、傷病手当金が使えます。

簡単に言えば、給料の3分の2が、最長で1年6カ月、補償されます。

但し、会社員でも社会保険に未加入の会社員や自営業の方は、対象外になります。

 

有給と病欠の違い

新型コロナウィルスが原因で休業しました。

自主的に休業(病欠)したのであれば、基本は無給です。

一方で、有給休暇であれば、基本は有給です。

 

じゃあ、いっそ全部有給休暇にすれば、給料も補償されるんだ、と思うのが本音です。

しかし、現実、2018年の日本の有給休暇取得率は52.4%。

非常に、低い水準であり、簡単に取得できないのが現状です。

 

一方で、2019年4月から労働基準法改正が行われました。

『年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち、年5日については、使用者が時季を指定して取得させる』ことが必要となりました。

 

つまり、仮に、年10日の有給休暇の権利があるのであれば、

5日は、原則通り、労働者が好きな日に取得する。

5日は、労働者の意見を尊重しながら、使用者が取得時季を指定する。

 

ですので、同じ会社を休むのでも、病欠や有休かは、大きな違いです。

可能な限り、有給休暇が取得できないのか、都度会社に相談をするべきなのです。

 

そして、実は各企業も大手を中心に動いてきました。

■東芝は、3月末までは特別な休暇制度を設ける事にしました。

仮に、年24日間の有給休暇や年5日間の看護休暇などをすべて使った社員が休んでも、欠勤扱いとせず、給与の8割を支給する。

 

■三菱UFJ銀行も有給休暇を使い切った行員を対象に、3月2日から事情に応じて自宅待機できる制度を導入する。部長などが取得の可否を判断する。出勤扱いとして給与を出し、取得日数に上限は設けない。

 

■三井住友銀行も有給休暇を使い切った行員が有給の特別休暇をとれるようにする。

*2020年2月29日付、日本経済新聞から抜粋。

 

政府が特例の休業手当補助を創設

政府も、この緊急事態に対して、様々な対策を始めてます。

■全国の小中学校・高校などへの一斉休校要請。

 

そして、学校の臨時休校に向け、子供を持つ保護者が休業した場合に、仕事を休んだ保護者に給料を支払った企業に対し、全額を助成する制度を創設すると発表しました。

 

正社員だけでなく非正規労働者も対象で、上限は1日当たり8,330円。

 

適用期間は2月27日から3月31日までの予定です。

 

今後の、政府の動きにも注目です。

 

民間の保険は使えるのか

新型コロナウィルスに感染された場合、入院された場合は、生命保険、医療保険とも使う事はできます。

但し、通院のみの場合は使えません。

或いは、検査のみでも保険を使う事は出来ません。

 

そして、各保険会社もHPで、自社の取扱い商品の中で、対応できる保険、できない保険を公開しております。

*AIG損保のHPから

 

では、会社を休業した場合に所得補償できる保険はあるのか?

■就業不能保険

■所得補償保険

名前だけを聞くと、「ある、ある!」と思いがちです。

 

しかし、条件が厳しいのです。

例えば、こんな条件がつきます。

「病気やケガで所定の就業不能状態となり、その状態が60日間を超えて継続している間、毎月給付金をお支払い」

 

或いは、病気やケガではなく「特定疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)」等、特定の病気を限定する保険もあります。

 

ですので、何でも出る保険は中々ありません。

ちなみに、就業不能保険を取扱いされている会社(一部)の支払条件(待機期間)を整理しました。

保険会社

商品名

待機(免責)期間

第一生命 ジャスト 入院が2週間以上
アフラック 給与サポート 60日
太陽生命 保険組曲Best 30日
ライフネット生命 働く人への保険2 60日または180日
アクサダイレクト 働けないときの安心 60日
SBI生命 働く人のたより 60日

*各社のHPから抜粋し、筆者が作成。

このように、保険を使えるまでは、一定の待機期間がある為、今回の新型コロナウィルスで使えるかどうかは各個人の病状によります。

 

じゃあ、民間の保険はあまり期待できないのでは・・・?

その中で、注目すべき保険もあります。

 

何と、一泊だけの入院で、30万円が出る保険があります。

以前、このブログでも記事を書かせて頂きました。

 

日帰り入院だけでも30万円!

 

なにせ、日帰り入院でもいいので一泊入院するだけで、30万円。

昔では考えられない保険も誕生しております。

気になる方は、個別にご相談下さい。

 

特に、自営業の方は、社会的な補償も公務員や大企業に勤務の方に比べて十分とは言えません。

自ら準備をしなければ、いざという時に、大変な事態に遭遇します。

 

■今、契約している保険で大丈夫なのか。

 

不安な方は、個別相談をご活用下さい。

今、年間FPサポートが好評です。

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本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

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