新型コロナで会社が倒産!従業員が未払賃金を受取る方法を解説

社会保障

人生100年時代を笑顔で送るためのお金の法則」Vol.293

新型コロナで会社が倒産!従業員が未払賃金を受取る方法を解説

2020年4月7日。

政府は、特別措置法に基づく緊急事態宣言を出しました。

 

正に、国の緊急事態であり、今後様々な混乱も予想されます。

 

その中で、今後、会社が倒産する事も予想されます。

では、その時に、未払の給料があり、会社が払ってくれない場合、どうしたらいいのか?

 

新型コロナウィルスによる経営破綻の実態

民間調査会社の東京商工リサーチが、2020年4月17日に発表した、全国企業倒産件数によると、新型コロナウィルス関連の経営破綻が、4月17日17時時点で66件発生。

 

66件の内訳は、倒産が41件。

法的手続きが準備中が25件。

 

破綻企業数は、2月末時点では2社でしたが、3月末時点では累計で25社に拡大。

4月に入ってからは、僅か17日間で、41社も増えております。

 

政府による外出の自粛要請の影響で、国内の経済状況は、かつて経験した事のない未曾有の状態が続いております。

 

今後の先行きは、誰も予測できない状況であり、特に、経営基盤の衰弱な零細・中小企業が心配です。

 

もし、自分の会社が倒産した場合はどうすればいいのか

会社の状況を確認する事

会社倒産でも、法的手続きを、裁判所の関与の下で行われる「法的整理」であれば、裁判所が選任した破産管財人により、精算の作業が進められますので、慌てる必要はありません。

 

えっ。なぜ?

そもそも「破産管財人」とは??

破産管財人とは、会社が倒産手続きを行う場合に、裁判所から指名されて、破産手続きを行う弁護士の事です。

つまり、会社が倒産した時点で、会社に資産があってもなくても、法律の範囲内で、破産管財人が手続きを進めて頂けるのです。

 

そして、まずは、破産管財人から「受任通知」が届きます。

ここからが、自らの手続きを進めるタイミングになります。

受任通知を受け取る。

債権届出書(債権調査票)の送付⇒破産管財人⇒裁判所

債権届出書とは、「私には、これだけの未払いの給料があります」という事実を破産管財人に知らせる書面です。

③会社に支払能力が残っていれば、未払賃金を受取れます。

 

一方で、経営者が夜逃げした場合や、実態として、経営破綻をしていても、経営者が何も行動をされないケースもあります。

 

その場合は、従業員が自ら行動を起こさなければなりません。

 

ですので、まずは、冷静に、今の自分の会社が、どういう状況なのかを確認する事が大事です。

 

公共職業安定所(ハローワーク)に失業手当の手続きを

まずは、明日からの生活が大事です。

ですので、迅速に失業手当の手続きを進める事が最優先です。

 

会社倒産の場合は、「会社都合退職者」に該当しますので、7日間の待機後に、失業手当が支給されます。

 

そして、その次です。

もし、倒産した会社から、未払の賃金があった場合です。

 

未払賃金立替払制度の活用

会社に資産が残っており、無事に未払賃金が戻ってくれば、問題はありません。

 

しかし、残念ながら、会社に資産がなく、回収できない場合に、国の制度を利用して、未払賃金を回収する方法があります。

未払賃金立替制度の概要

未払賃金立替制度は、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度です。

 

立替払を受ける事ができる人

①労災保険の適用事業所で1年以上事業活動を行っていた事業主に雇用され、企業倒産に伴い、賃金が支払われないまま退職した労働者であったこと。

 

②裁判所への破産手続開始等の申立日(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署長に対する事実上の倒産の認定申請日(事実上の倒産の場合)の6か月前の日から2年の間に当該企業を退職した方

退職後6か月以内に裁判所への破産手続開始等の申立て又は労働基準監督署長への認定申請がなされなかった場合は、立替払の対象となりません。

 

③未払賃金額等について、破産管財人等の証明(法律上の倒産の場合)又は労働基準監督署長の確認(事実上の倒産の場合)を受けた方。

 

立替払の請求ができる期間

法律上の倒産の場合:裁判所の破産手続の開始等の決定日又は命令日の翌日から起算して2年以内

 

事実上の倒産の場合:労働基準監督署長が倒産の認定をした日の翌日から起算して2年以内

 

*この期間を過ぎた場合は立替払を受けることはできません。

 

立替払の対象となる未払賃金

退職日の6か月前の日から機構に対する立替払請求の日の前日までの間に支払期日が到来している「定期賃金」及び「退職手当」です。

 

但し、以下のは対象外になります。

■未払賃金総額が2万円未満。

■賞与その他臨時的に支払われる賃金。

■解雇予告手当、賃金の延滞利息。

■年末調整の税金の還付金、慰労金、福利厚生上の給付等。

 

立替払される金額

立替払される金額は、未払賃金総額の100分の80の額。

 

但し、立替払の対象となる未払賃金総額には、退職日の年齢により、その限度額を超えた時は、立替払される金額は、限度額の100分の80となります。

退職日における年齢

未払賃金総額の

限度額

立替払の上限額

(限度額の8割)

45歳以上

370万円

296万円

30歳以上45歳未満

220万円

176万円

30歳未満

110万円

 88万円

立替払制度の実態

平成30年度の立替払状況が公表されております。

1年間で、23,554人の立替払されており、1人当たりの立替払額の平均は約37万円になっております。

 

企 業 数

(件)

支 給 者 数

(人)

立 替 払 額

(百万円)

1人当たり

立替払額

(千円)

平成30年度

2,134

23,554

8,696

369

対前年度

(比)

155

(7.8%)

1,096

(4.9%)

31

(0.4%)

△17

(△4.3%)

 

請求手続きは

「法律上の倒産の場合」と「事実上の倒産の場合」で、請求手続きが異なります。

 

法律上の倒産の場合の請求手続き

①立替払請求者は、裁判所・以下の倒産の区分に応じた証明者に対して、立替払請求の必要事項についての証明を申請します。

倒産の区分

証明者

破産

破産管財人

特別清算

精算人

民事再生

再生債務者(管財人)

会社更生

管財人

 

②証明書が交付されたら、「立替払請求書」及び「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」に必要事項を記入し、証明書と切り離さないで労働者健康福祉機構に提出します。

③立替払請求の必要事項の全部又は一部について証明を裁判所・破産管財人等証明者から得られなかった場合は、労働基準監督署長に対して、証明を得られなかった事項について確認申請ができます。

 

事実上の倒産の場合の請求手続き

①労働基準監督署長に対して、当該事業場が事業活動を停止し、再開の見込みがなく、かつ、賃金支払能力がない状態になったことについての認定の申請を行います。

尚、認定の申請は、当該事業場を退職した立替払請求者が2人以上いる場合は、そのうちの1人が認定を受ければ足り、その効果は他の退職労働者にも及びます。

 

認定通知書が交付されたら、労働基準監督署長に対して、立替払請求の必要事項についての確認の申請を行います。

確認通知書が交付されたら、「立替払請求書」及び「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」に必要事項を記入し、確認通知書と切り離さないで労働者健康福祉機構に提出します。

 

はい、ここまでできれば、後は入金を待つだけです。

1人で全てやる事は大変です。

できれば、会社の同僚と連携をしながら、一緒に行動する。

 

そして、まずは、地元の労基署か信頼できる弁護士に相談をされてはいかがでしょうか。

 

或いは、ネットでも情報は収集できます。

■独立行政法人 労働者健康安全機構

労働者健康安全機構 トップページ

 

本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

 

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