「人生100年時代を笑顔で送るためのお金の法則」Vol.294
コロナショックで忍び寄る住宅ローン利用者の延滞リスクと不利益
2020年4月17日。
新型コロナウィルスの感染拡大により、国は緊急事態宣言の発令を全国に拡大。
この発令により、全国の多くの店舗が休業。
店舗以外の企業も、在宅勤務を中心とした雇用体制を求められ、営業は自粛。
今後、様々な企業で、経営破綻や雇用の見直し、賃金カット、解雇等あらゆる事が予想され、ただ不安な状況が続いております。
特に、今後心配されるのは、住宅ローンを利用されている方です。
今後、収入が減り、返済が滞った場合に、どうなるのか?
今、できる事は何なのか?
知らないと、どうなるのか?
自分の人生は自分で学び、行動するしかないのです。
元銀行員の立場からも、住宅ローンを利用されている皆様へのメッセージを送らせて頂きます。
延滞リスク
延滞とは、言葉の通り、毎月決められた返済日に返済ができない事です。
実は、延滞は、1回でも起こしてはいけないのです。
なぜか?
「期限の利益の喪失」
簡単に言えば、銀行からお金を借りる場合は、毎月決められた日に分割返済をすればいいのです。
これを「期限の利益」と言います。
ところが、延滞をすると、「期限の利益を喪失」する可能性が高いのです。
つまり、「期限の利益」は毎月返済をする事で守られますが、約束を破ると権利が剥奪されるのです。
この剥奪の権利を握っているのが銀行なのです。
そして、剥奪されると、どうなるのか?
一括返済してください。
できないなら、競売です。
ですので、まずは、「延滞」を安易に考えないで欲しいのです。
そして、正に今、延滞が起こりうる3つのリスクがあるのです。
感染の疑いによる就業不能
新型コロナウィルスの感染の疑いが出れば、容赦なく、一定期間は仕事ができません。
その時のポイントは2つ。
①就業できない期間(誰も予測できない)
②就業できない期間の収入の確保
■今、自分で確認すべき事
・給料(就業規則等で要確認)は、どの期間、どこまで補償されるのか。
■ケースにより、会社に補償義務が発生するもの
・休業手当:症状が軽症で、感染の疑いがあり、会社の指示で休業する場合は、休業手当が支給される可能性があります。→平均賃金の6割以上
■国から補償される制度(社会保険加入者が対象)
・傷病手当金:会社からの賃金が出ない場合は、最長で1年6カ月、標準報酬月額の3分の2が支給されます。
*詳細は全国健康保険協会のHPをご参照下さい。
■対策として、今自分ができる事
・保険の見直し
今の生命保険、医療保険は3大疾病(がん、脳血管、心疾患)に重点を置いた保険が中心であり、感染症に対しての補償は不十分な方がほとんどである。
見直しのポイントは2つ。
①所得補償保険:病気やケガで就業不能になった場合に、喪失する所得に対する補償。
②入院一時金の金額が大きい保険
会社の経営破綻
残念ながら、2020年2月以降、全国で50を超える企業が経営破綻をしております。
経営破綻は、突然やってきます。
その時に、何を確認し、何をすればいいのか?
ポイントは2つ。
①引き続き、就業が可能なのか。
*例えば、引継企業の存在、会社更生の予定等。
②収入がどの程度維持できるのか。
■失業時の対策
①失業手当:即、公共職業安定所に相談を!
②未払賃金立替制度:会社からの未払賃金があれば、国が立替をしてくれる制度。
ボーナスカットによるボーナス返済
多くの方は、毎月の返済とボーナス払を併用されております。
心配なのは、6月のボーナスが出るのか、出ないのか?
おそらく、現時点では、誰も予測できませんが、よくて減額。
そうなると、ボーナス返済ができない方が出てきます。
つまり、延滞です。
延滞により発生する不利益
冒頭で、延滞により、「期限の利益の喪失」。
最悪のケースで、自宅を競売し、失う可能性もあります。
しかし、それだけではないのです。
その前に2つの不利益が発生するのです。
信用情報登録機関への記録が残る
「信用情報」と聞いても、よく分からない方が多いかもしれません。
実は、皆様が銀行やクレジット会社から借りた記録は、全て記録に残ります。
そして、当然ですが、特に「延滞記録」は最重要項目として残ります。
信用情報会社は主に3社あります。
基本的に3社は、ネットワークで情報共有されてますので、皆様が住宅ローンを申込された時点で、過去の銀行以外での延滞歴も、銀行は確認ができます。
そして、延滞が記録されれば、2つの不利益が生じます。
①新たに、クレジットカードを作る事が難しい。
②今後、お金を借りる際の審査が厳しくなる。
優遇金利解消
今、住宅ローンを利用されている方の多くが、実は「優遇金利」を使ってます。
つまり、通常の金利よりも、安くなっているのです。
ところが、延滞をすると、この「優遇金利」が解消されてしまうのです。
では、具体的に検証します。
■三菱東京UFJ銀行で3,000万円借入。期間は35年。
10年固定。ボーナス返済なし。
*2020年4月の金利で検証
金利 |
毎月返済額 |
|
優遇金利 |
0.55% |
78,540円 |
標準金利 |
3.15% (+2.6%) |
117,981円 (+39,441円) |
このように、1回の延滞をする事で、毎月の返済額が一気に4万円弱もアップ。
年間でも約48万円の負担増になるのです。
収入は減る+毎月の返済は増える=ダブルショック
延滞が起きる前の対策
実は、ここが1番大事なのです。
誰しもが、好きで、新型コロナウィルスに感染する訳ではありません。
世界的な危機なのです。
ですので、まずは、延滞が起きる前に、事前に銀行に相談をする事です。
そして、今の状況を詳しく説明をして下さい。
具体的には、返済方法の見直しをする事です。
■例えば、毎月いくらなら返済ができるのか。
■返済期間を延長できないのか。
実は、金融庁も、銀行に対して、住宅ローンの支払いが困難な個人については、返済期間の延長など柔軟に対応するよう促しているのです。
ですので、仮に、銀行に相談しても、相手にしてくれない。
真剣に聞いてくれない・・・。
そのような事実があれば、直接、金融庁の電話相談窓口に連絡をして下さい。
0120-156811
*通話料は無料で、平日午前10時~午後5時まで。
併せて、これから住宅を購入希望の方で、不安な方。
住宅ローンについて、詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照下さい。
住宅ローンに関しての個別相談もご活用下さい。
本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
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