年金減額の基準はいくらなのか?働き方を変えれば減額されない?

公的年金

人生100年時代を笑顔で送るためのお金の法則」Vol.302

年金減額の基準はいくらなのか?働き方を変えれば減額されない?

60歳以降働きながら年金をもらうと、年金が減らされる!

これを「在職老齢年金制度」と言います。

 

多くの方が、この部分だけはご理解されているようです。

一方で、細かい決まり事になると??

 

そんな疑問や、よくある誤解について解説をさせて頂きます。

 

65歳未満の方の在職老齢年金制度の見直し

実は、2022年4月より、65歳未満の方の在職老齢年金制度の見直しがありました。

これにより、65歳未満と65歳以上で支給停止の金額が同じになりました。

 

併せて、今まで、65歳未満の方で年金を減額されていた方の多くは、減額されずに、満額支給を受ける事ができます。

 

では、具体的な支給停止の計算方法です。

 

(総報酬月額相当額+基本月額ー支給停止調整開始額)×1/2=支給停止額

 

簡単に言えば、こんな感じです。

給与と年金の合計額が47万円を超えれば、超えた金額の1/2が停止されます。

 

 

 

具体的な事例

例えば、こんな感じです。

■給与:25万円

■年金:10万円

<2022年3月までの計算方法>

(25万円+10万円ー28万円)×1/2=3.5円(減額)

<2022年4月以降の計算方法>

(25万円+10万円ー47万円)×1/2=-6万円(満額支給)

 

つまり、2022年3月までは、10万円の年金が6.5万円に減額されました。

2022年4月以降は、減額されずに、満額支給されます。

 

本当に、良かったですね。

 

この変更により、2019年度末基準で、全国で約67万人の減額対象が約21万人に減るようです。

厚生労働省の2019年度末推計から

 

全ての年金が対象ではない

老齢基礎年金は対象外

つまり、自営業・フリーランスの方は対象外です。

併せて、厚生年金をもらっている方でも、老齢基礎年金部分は対象外です。

 

えっ!

どういう事ですか?

理解できない・・・。

老齢厚生年金は2つに分かれてます。

1階部分が基礎年金。

2階部分が報酬比例年金。

つまり、報酬比例年金だけが対象です。

 

 

 

■1階の基礎年金

この部分は対象外ですので、全額支給されます。

 

 

■2階の比例報酬

この部分が減額の大賞になります。

 

更に、細かく言えば、加給年金の部分も対象外です。

 

加給年金とは、65歳以降厚生年金を受給する時に、64歳未満の一定の条件に合致した奥様がいれば、支給される家族手当の事です。

 

奥様が年下であれば、長い期間、加給年金が支給されます。

 

 

厚生年金も働き方で対象外にする事ができる

原則、厚生年金の適用事業所で働いている方は対象になります。

しかし、実は厚生年金の適用事業所で働いていても、対象外にする事が可能なのです。

 

それが、働き方改革です。

具体的には、雇用契約から業務委託への変更です。

 

つまり、同じ職場でも、言葉を変えれば会社員からフリーランスへの変更です。

 

そこには、メリットもあれば、デメリットもあります。

 

例えば、年金減額の対象外になる事はメリットです。

 

一方で、60歳以降、年金を増やす手段が繰下げ請求以外はなくなります。

更に、健康保険も社会保険から国民健康保険に変更。

傷病手当金がなくなる等のデメリットが発生します。

 

全ての収入が対象ではない

対象になる給与は、雇用契約により受取る給与収入です。

 

一方で、業務委託の場合は、給与ではなく報酬になります。

つまり、事業所得になるのです。

ですので、雇用契約から業務委託に変更した場合は、年金が減らされる事はありません。

 

 

更に給与以外にも定期的に収入がある方もおります。

 

具体的には

■アパート経営による不動産収入

 

■資産運用による利子所得・配当所得

 

■個人事業による事業所得

 

 

■副業による雑所得

 

 

これらは全て、年金減額の対象外になる収入です。

 

減額分は戻らない

多くの方が、誤解をされていることが2つあります。

■在職老齢年金で減らされた分は、将来戻ってくる・・・。

■年金が減らされるなら、いっそ、繰下げ請求すればいい・・・。

 

はたして、そうなのでしょうか?

 

在職老齢年金制度で支給停止された金額が戻されることはない

はい、残念ながら、支給停止された年金が、将来戻る事はありません。

但し、冷静に考える事も必要です。

 

働いている間は、年金保険料も払います。

その払った保険料が無駄になる訳ではないのです。

 

60歳以降に払った保険料も、退職時点で年金額に反映されます。

これを、「退職時改定」と言います。

 

例えば、67歳で会社を退職したのであれば、退職日の翌月に退職改定が行われ、増額した年金額で支給されます。

 

 

ですので、60歳以降は減額される年金と増額される年金が存在するのです。

 

 

65歳未満の特別支給の老齢厚生年金は繰下げできない

最近、年金の繰下げ請求の話題も多くなり、興味を持つ方も増えてきました。

 

そして、65歳未満の方が、『どうせ年金が減るなら、今もらわないで、繰下げ請求しよう』と考えるのは自然の事です。

 

しかし、そもそも特別支給の老齢厚生年金は、言葉の通り、特別に支給する年金です。

老齢厚生年金ではないのです。

 

つまり、繰下げ請求はできないのです。

 

 

逆に、もらわないと損なのです。

 

このように、年金制度は複雑です。

しかし、知らないまま放置すると、長い老後生活に大きな損害になるのです。

 

ですので、早い時期に年金のしくみを理解し、老後資金の準備をする事です。

不安な方は、個別相談をご活用下さい。

 

個別相談に申込します

 

本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

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