「知らないと人生を10倍損するお金のしくみ」
<誰でも分かる金融用語・金融商品辞典>Vol.34
「小規模宅地等の特例」は相続税対策に欠かせません!
小規模宅地等の特例とは
「小規模宅地等の特例」とは相続税の特例のひとつで、被相続人(亡くなられた人)が住んでいた土地や事業をしていた土地について、一定の要件を満たせば、80%又は50%まで評価額を減額してあげます、との特例です。
つまり、この特例の趣旨は「今まで住んでいた土地に、相続税を課税したら可哀想!ましてや、相続税を払う為に、住む家を売却させる事はさせてはいけない!」
そういう事なのです。
小規模宅地等の特例のしくみ
名前だけ聞くと、何か難しい制度のようなイメージがありますが、実は内容はシンプルなのです。
逆に知らないと損する特例なのです。
要は、亡くなられた方の住んでいたご自宅を、その後誰が住むのかが、大きなポイントです。
その上でポイントをまとめます。
特例を使える方
配偶者
当然といえば当然ですが、夫婦で住んでいたご自宅ですので、仮にご主人が亡くなり、奥様が自宅を相続した場合は、無条件で、この特例を使う事ができます。
同居の親族
実際に多いのは、息子夫婦、娘夫婦、もしくは、未婚の息子、娘、あるいは孫になります。
ここで勘違いが多いのは、この特例を使う為に、住民票だけを同居していたケースです。
これはNGです。
税務署は、形式ではなく、実態を見ます。
なぜか?
税金を80%減額するわけですから、要件は当然厳しくなります。
家なき子
本年の4月1日から、制度改正されたのが「亡くなった方と別居していて、かつ3年以上自分の持家に住んでいない親族」、いわゆる「家なき子」です。
但し、この特例使う為には、更なる要件があります。
下記の2人が存在しない事です。
①配偶者
②同居している相続人
ですので、想定できるのは、既に配偶者を亡くされ、1人暮らしの方が亡くなった場合。
つまり2次相続が前提になります。
更に、厳しい要件があります。
特例を使う方が賃貸マンションに住んでいて、持家がない場合は問題ありませんが、例えば、「私は不動産は持ってませんが、主人が所有している持家に住んでいます」
この場合は、残念ながら、特例は使えません。
この持家の判定は、夫婦で行うことになるからです。
2つある期間の要件とは
3年以上、自分の家に住んでいないこと
つまり、相続が発生する3年以上前から、自己所有の家がなく、賃貸アパートや借家に住んでいるという事になります。
相続が発生してから10ヶ月間は所有し続けること
仮に、相続が発生した日から、10ヶ月以内に、自宅を売却してしまう場合は、この特例は使えません。
ちなみに、この10ヶ月という期間は、相続税の申告納税期限になります。
*ちなみに、配偶者には、この要件は対象外です。
特例の対象になる宅地
基本的には「居住用宅地」と「事業用宅地」があります。
そして、減額が80%になるケースと50%になるケースがあります。
■80%に該当する宅地
・被相続人が住んでいた宅地等 330m2
・被相続人が営んでいた事業用の宅地等 400m2
・被相続人等の同族会社の事業宅地等 400m2
■50%に該当する宅地
・被相続人等の不動産貸付用の宅地等 200m2
まとめ
実は、この特例は、何度も改正が行われております。なぜか?
80%の減額は非常に大きな特例になりますので、本来の趣旨から外れたやり方で、特例を使おうとする方がいる為に、厳格にせざる得ないのです。
ですので、『抜け道は許さない』とのメッセージが出るのです。
特に、本年の改正のポイントは「家なき子」のケースです。
例えば、実質、自分の自宅を所有しておきながら、名義を一旦子供名義に変更し、相続で特例を使ってから、名義を子供から自分名義に戻すような、悪質な事例が出てしますのです。
これは、本来の『小規模宅地等の特例』の趣旨から大きく外れたやり方です。
いずれにせよ、相続が発生する前に、専門家に相談する事が一番です。
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本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
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