「人生100年時代を笑顔で送る為のお金の法則」Vol.314
特別支給の老齢厚生年金とは?もらわないと損なのか?
複雑な日本の年金制度。
中でも誤解されやすい年金が「特別支給の老齢年金」です。
学校では教えてくれない。
会社も教えてくれない。
日本年金機構からくる書類は難しくて、理解できない。
そして、結果的に分からないまま放置してしまう・・・。
そんな事態にならない為にも、正しい理解が必要なのです。
そんなお手伝いとして、情報発信をさせて頂きます。
特別支給の老齢厚生年金とは
何が特別支給なのか
もらえる方が特別な方に限定
男性の場合:昭和36年4月1日以前に生まれた方
女性の場合:昭和41年4月1日以前に生まれた方
角度を変えて、令和2年9月現在で。
男性で58歳未満、女性で53歳未満の方は対象外になります。
もらえる期間が限定されている
年金額は、定額部分と比例報酬部分で計算されます。
しかし、定額部分をもらえる方は、2012(平成24)年に終了。
つまり、生年月日で整理します。
下記の生年月日に該当する方は、定額部分と比例報酬部分が両方もらえました。
■男性で昭和24年4月1日までに生まれた方
■女性で昭和29年4月1日までに生まれた方
しかし、それ以降に生まれた方は、比例報酬部分のみになります。
具体的には、下記の通りです。
[男性の場合]
生年月日 |
支給開始年齢 |
もらえる期間 |
昭和30年4月2日~昭和32年4月1日 |
62歳 |
3年間 |
昭和32年4月2日~昭和34年4月1日 |
63歳 |
2年間 |
昭和34年4月2日~昭和36年4月1日 |
64歳 |
1年間 |
[女性の場合]
生年月日 |
支給開始年齢 |
もらえる期間 |
昭和35年4月2日~昭和37年4月1日 |
62歳 |
3年間 |
昭和37年4月2日~昭和39年4月1日 |
63歳 |
2年間 |
昭和39年4月2日~昭和41年4月1日 |
64歳 |
1年間 |
生年月日以外の受給要件
・老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。
・厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
・60歳以上であること。
特別支給の老齢厚生年金ができた経緯
今でこそ、年金がもらえる年齢は65歳で認識されれます。
しかし、以前は60歳でした。
昭和60年の法律改正により、厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に変更。
しかし、一気に変更すれば混乱を招き、国と国民の信頼関係も崩れます。
そこで、長い時間をかけて、段階的に移行できるようにする為に設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」なのです。
受給額を知るには
自分で計算する
比例報酬部分のみの年金額計算。
ポイントは過去の給料の平均と加入期間です。
①と②の合計額が、年間の受給金額になります。
①平均標準報酬×7.125/1,000×(平成15年3月までの)被保険者期間月数
②平均標準報酬×5.481/1,000×(平成15年4月以降の)被保険者期間月数
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認する
「ねんきん定期便」の確認方法
「ねんきん定期便」は、毎年、誕生日月に日本年金機構から送られてきます。
では、どこを見ればいいのか。
ずばり、ここの②の部分です。
但し、この金額は今の仕事と収入で60歳まで継続された事を前提での見込です。
「ねんきんネット」の確認方法
そもそも、「ねんきんネット」を見た事がない。
使った事もない。
そんな方は、下記の記事から読んでみて下さい。
■トップ画面からログイン
■次に「将来の年金額を試算する」を選択
■「かんたん試算」で試算できます。
■試算結果が出ます。
注意事項
請求しないともらえない
意外と勘違いされている方が多いです。
年金は、自分で請求しないともらえません。
但し、対象の方には、支給開始年齢に到達する3ヵ月前に「年金請求書」が日本年金機構から送られます。
ところが、多くの方が65歳からもらえる「老齢厚生年金」の請求書と勘違いし、請求しないまま放置する可能性が高いのです。
時効が過ぎるともらえない
日本の年金制度は、年金を受け取る権利が発生してから5年が経過すると、「時効」によって、権利が消滅します。
ですので、日本年金機構から書類がきて、内容が分からない場合は、電話等で確認するか、年金事務所に足を運んで相談をしてみて下さい。
繰上げ請求も繰下げ請求もできない
「老齢厚生年金」の場合は、65歳からもらえる年金を60歳以降に早めにもらう「繰上げ請求」。
66歳以降に遅らせてもらう「繰下げ請求」があります。
しかし、「特別支給の老齢厚生年金」には、繰上げ請求も繰下げ請求もありません。
ですので、権利が生じたら迷わずに請求をするべきです。
在職中の方は、年金額が支給停止になる事があります
この「特別支給の老齢厚生年金」の一番の問題が「在職老齢年金制度」です。
簡単に言えば、仕事をしながら年金を受給する場合、給料と年金の合計額が基準の金額を超えた場合は、年金額が減額されるか、全額支給停止になる場合もあります。
年金は1度、2度聞いただけで理解できるものでもありません。
不安な方は、「個別相談」もお気軽にご活用下さい。
本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
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