「人生100年時代を笑顔で送るためのお金の法則」Vol.322
遺族年金はいくらもらえるの?いつまでもらえるの??
新型コロナウィルスが終息するどころか、2020年10月後半から、北海道では連日感染者が増加しております。
そして、残念ながら、新型コロナウィルスが原因で亡くなられる方もおります。
突然の事で、心の準備も、今後の生活の準備もできないまま残される遺族の方。
悲しんでいる時間はなく、容赦なく現実の生活は続きます。
そこで、大きな味方になるのが「遺族年金」です。
しかし、多くの方が「遺族年金」の仕組みが分からない。
いくらもらえるのかも分からない。
これが、現実です。
そんな皆様へ知って頂きたい「遺族年金」の仕組みを解説させて頂きます。
遺族年金はいつまでもらえるのか
まず、遺族年金には2つの遺族年金があります。
■遺族基礎年金
■遺族厚生年金
実は、仕組みは、全く違いますので、分けての解説をさせて頂きます。
遺族基礎年金
支給対象:18歳以下の子を持つ配偶者か子。
*厳密に言えば、下記の2つです。
①18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子。
つまり、お子様が高校3年生を卒業するまでもらえます。
②20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある子。
この場合は、20歳に到達するまでもらえます。
遺族厚生年金
支給対象:死亡した者によって生計を維持されていた下記の方。
①妻
②子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の1級、2級の者)
③55歳以上の夫、父母、祖父母(支給対象は60歳から。但し、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も受給できる)
遺族基礎年金とは違い、終身でもらえます。
遺族年金はいくらもらえるの
遺族基礎年金
年金額は毎年改定されます。
令和2年度で781,700円+子の加算額
子が1人:1,006,600円(加算額は224,900円)
子が2人:1,232,500円(加算額は+224,900円)
子が3人:1,306,500円(加算額は+75,000円)
子が4人:1,381,500円(加算額は+75,000円)
子が5人:1,456,500円(加算額は+75,000円)
遺族厚生年金
遺族基礎年金と違い、計算方法は複雑です。
ポイントは、以下の4つのデータを知る事です。
■平均標準報酬額
■平成15年3月までの被保険者期間の月数
■平成15年4月以後の被保険者期間の月数
<計算式>
1の式によって計算した額が2の式によって計算した額を下回る場合は、2の式によって計算した額が報酬比例部分の年金額になります。
1.報酬比例部分の年金額(本来水準)
{平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+
平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数}×3/4
2.報酬比例部分の年金額(従前前保障)

従前前保障とは??

従前前保障とは、平成6年の水準で標準報酬を再評価し、
年金額を計算したものです。
(平均標準報酬月額×7.5/1,000×平成15年3月までの被保険者期間の月数+
平均標準報酬額×5.769/1,000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数)×1.002(*)×3/4
*昭和13年4月2日以降に生まれた方は1.000
尚、被保険者期間は、300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算します。
具体例で計算
■昭和40年8月1日生まれ、家族は奥様と高校3年の長男。
■昭和63年4月1日に厚生年金に加入
■平均標準報酬月額:30万円
■平成15年3月までの被保険者期間の月数:180月
■平均標準報酬額:45万円
■平成15年4月以後の被保険者期間の月数:217月
1の計算(本来水準)
{300,000×7.125/1,000×180+450,000×5.481/1,000×217}×3/4=689,978
2の計算(従前前保障)
(300,000×7.5/1,000×180+450,000×5.769/1,000×217)×1.000×3/4=726,257
よって、2の計算式になります。
遺族年金の合計額
では、上記の具体例で、年金はいくらもらえるのか。
1,006,600円(遺族基礎年金)+726,257円(遺族厚生年金)=1,732,857円(年額)
月額金額は144,405円
遺族年金の落とし穴
遺族年金は、残されたご家族の家族構成により、一定期間で年金額が変更になる事があります。
遺族基礎年金の打ち切り
遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金に分かれます。
遺族厚生年金は終身なので、問題ありません。
しかし、遺族基礎年金は、お子様の成長と共に突然打ち切りになります。
具体的には、一般的に高校3年の卒業とともに、遺族基礎年金の支給はなくなります。
中高齢寡婦加算の加算
上記の具体例で検証すれば、今まで毎月144,405円の年金が、突然60,421円に減額されます。
しかし、これでは、あまりにも過酷です。
ですので、お子様が高校を卒業し、自分の老齢基礎年金がもらえる65歳までの期間は中高齢寡婦加算が加算されます。
金額は586,300円(令和2年度)
つまり、144,405円からの減額されますが、114,000円になります。
まとめ
遺族年金は、残された遺族の方には欠かせない貴重な生活費になります。
しかし、残念ながら、遺族年金だけで生活できる方は限定されます。
ですので、早い段階で、遺族年金のしくみを理解した上で、足りない金額を準備する事が必要です。
その具体的な金融商品が「生命保険」です。
しかし、生命保険は入ればいい、という訳ではありません。
適正な必要金額を計算する事が大切です。
必要金額より多ければ、無駄な保険料を払う事になる。
必要金額より少なければ、そもそも生活が厳しくなる。
ですので、正しい必要金額を計算する上で、一番大事な事が「遺族年金」の存在です。
今、万一の事が起きた場合、「遺族年金」からいくらもらえるのか、いつまでもらえるのかを知る事です。
知った上での「生命保険」なのです。
日本の年金制度は複雑なので、中々理解できない方も多いようです。
不安な方は、個別相談もご活用ください。
本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
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