「標準報酬月額」とは?わかりやすく解説します!

社会保障

人生100年時代を笑顔で送るためのお金の法則」Vol.308

「標準報酬月額」とは?分かりやすく解説します!

 

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、社会保険料の算出に際し、計算の算出根拠になる区分金額のことです。

つまり、実際の報酬額ではなく、社会保険料を計算する為の基礎数字です。

 

実際の報酬額は「報酬月額」になります。

尚、社会保険料は3つの保険が対象になります。

①健康保険料

②厚生年金保険料

③介護保険料

ご参考までに、雇用保険と労災保険は「労働保険」になります。

 

対象になる報酬

報酬」とは、「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対価として受けるすべてのもの」です。

 

つまり、会社との雇用契約により、受取る給料と賞与のことです。

 

報酬に含まれるもの

報酬とは給与のことです。

そして、給与は基本給の他にも、様々な名目の報酬があります。

 

例えば、役付手当、通勤手当、残業手当、扶養手当

これらも全て、報酬に含まれます。

 

標準報酬月額の等級・区分

健康保険の場合

健康保険は1等級~50等級まで区分されてます。

1等級が58,000円。

50等級が139万円。

標準報酬=報酬月額(給与)にならない場合もあります。

 

例えば、平均給与が35万円の方は25等級に区分されます。

25等級は35万円以上37万円未満の区分になります。

そして、標準報酬月額は36万円です。

 

尚、報酬月額が1,355,000円以上の方は最上級の50等級になり、標準報酬月額は一律で139万円です。

 

厚生年金の場合

厚生年金の場合は1等級~34等級まで区分されてます。

1等級が88,000円。

34等級が62万円。

つまり、どんなに報酬の高い方でも、標準報酬の上限は62万円になります。

 

標準報酬月額の特徴

都道府県単位で保険料が違う

自分の標準報酬月額や保険料を確認したい。

その場合は、協会けんぽのHPから確認できます。

 

令和2年度保険料額表(令和2年3月分) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会

 

そして、標準報酬月額の区分の仕組みは全国共通ですが、健康保険料は都道府県で違います。

厚生年金保険料は、全国一律です。

 

ご参考までに、標準報酬月額が20万円の方の保険料の比較です。

都道府県名

健康保険料(40歳未満)

健康保険料(40歳以上)

厚生年金保険料

北海道

20,820円

24,400円

36,600円

東京都

19,740円

23,320円

36,600円

大阪府

20,440円

24,020円

36,600円

福岡県

20,640円

24,220円

36,600円

 

 

保険料は会社と折半です

国民年金との大きな違いです。

国民年金は、保険料は全額本人負担です。

ちなみに、令和2年度の国民年金保険料は16,540円です。

しかし、厚生年金は会社が50%、本人が50%の負担になります。

例えば、東京都で標準報酬が20万円の方の厚生年金保険料は36,600円です。

内、会社が18,300円

本人が18,300円の負担になります。

健康保険は40歳を境に保険料率が変わる

健康保険の場合は、介護保険第2号被保険者に該当するか否かで保険料率が変わります。

介護保険第2号被保険者とは、40歳以上65歳未満の方です。

 

つまり、介護保険の保険料負担が加算されますので、40歳以上から保険料は上がります。

 

標準報酬月額の決定の種類

資格取得時決定

言葉の通り、就職や転職で新たに会社に入社した場合、「健康保険厚生年金被保険者資格取得届」に記入し、年金事務所か健康保険組合に提出します。

 

その書類の中に記入する「報酬月額」に基づいて、日本年金機構が標準報酬月額を決定します。

定時決定

通常は、この定時決定で決まります。

会社は、毎年7月1日時点の被保険者全員の4~6月の報酬月額を年金事務所か健康保険組合に提出します。

 

つまり、4~6月の3カ月間の平均給与が、その年の9月から翌年8月までの期間、適用されます。

 

随時決定

給与の金額が大幅に変動した場合に、定時決定を待たずに改定する事もできます。

 

但し、3つの条件全てを満たす必要があります。

①昇給または降級などにより固定的賃金に変動があった場合。

②変動月からの3カ月間に支給された報酬の平均月額に該当する標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額との間に2等級以上差が生じたとき。

③3カ月とも支払基礎日数が17日以上であること。

 

まとめ

社会保険には、似たような名前の専門用語がありますので整理します。

標準報酬月額

今回のテーマでもあります。

社会保険料を計算する為の、計算の基になる基礎金額。

 

 

標準報酬賞与額

標準報酬月額と考え方は同じです。

月額報酬ではなく、賞与の金額です。

 

具体的には、税引前の賞与総額から千円未満を切り捨てた標準賞与額です。

そして、金額の上限もあります。

■健康保険:年度の累計額が573万円

■厚生年金:1ケ月あたり150万円

 

報酬月額

標準報酬月額を決める際に、その基になる報酬です。

具体的には、基本給、役付手当、通勤手当、残業手当、扶養手当等です。

 

ですので、毎月の給与と考えて頂いていいです。

 

総報酬月額相当額

在職老齢年金の受給額を調整(支給停止)する際に使われる給与や賞与の事です。

具体的には、月額給与+直近1年間の賞与の12分の1の合計額になります。

 

 

日本の年金制度は複雑です。

そして、社会保険のしくみも複雑です。

 

しかし、一方で、日本の社会保障制度は、世界の中でも優れた内容です。

ですので、制度のしくみを正しく理解した上で、上手に活用しましょう。

 

使わないと損!

それが、社会保障制度です。

 

本日も、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。

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